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棄てられた民

パンゲア大陸に、棄てられた民たちがいた。

世界の終末、大陸はすべて海に飲み込まれようとしていた。
“地球大洪水”である。
人類はあらゆる手段を講じて大洪水を食い止めようとしたが、無駄だった。
そして悟ったのだった。地球を棄てるしかない、と。
人類は宇宙船“NOA”をつくり、地球脱出を試みた。
しかし、人類すべてが乗るには定員オーバーだった。
そこで、“有識者”たちによる選抜が行われた。それは人類による“最後の審判”だった。
かくして、優れた人間のみが選ばれ、劣った人間は滅びゆく地球に残されたのだった。

海が大陸を侵食してゆくなか、残された人間たちは最高峰の山の頂上に集まり、天に祈りを捧げていた。
神様、助けてください、助けてください。
優れた人間たちは科学の力を信じ、自らの手で運命を切り開いたが、残された人間たちには宇宙船を生み出す力などなく、神様に祈るしか道がなかったのである。

地球に残された数十億人の棄てられた民たちがみな、オリンポスの山の峰に沿ってびっしりと並び、ひざまずき、両手を天に捧げ、祈っていた。奇跡を信じて。
すると太陽が大きく輝きはじめた。眩しい光が世界を包み、人々を照らした。そして、向こうの海に光の玉が落ちた。
世界は急速に激変した。海の水が一気に蒸発していった。それはまるで、逆向きに降る雨だった。人々は奇跡を見ているようだった。

優れた人間たちを乗せた宇宙船“NOA”は消滅していた。
高エネルギー反応を捕らえた瞬間、跡形もなく消失していた。
太陽から飛んできた高エネルギーの光の玉は“NOA”を消滅させ、地球に飛んでいったのだった。

雨はやみ、空には虹がかかっていた。
人々は奇跡を目撃していた。
蒸発した海の水は北の端と南の端に集まり、氷の大陸が形成された。再び姿をあらわしたパンゲア大陸はひび割れていて、移動をはじめ、複数の大陸に分かれようとしていた。
それはまさに新世界の創造であった。
人々は天を見上げ、神に心から感謝した。

神は満足であった。
科学の力など、我々神を脅かしかねん。早いうちに滅ぼしておかねばな、、

今日も太陽は地球を照らしている。。
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テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

ピーターパン少年の成長

むか~しむかし、といってもほんの2,3年前の話。
日本の東京都にピーターパンという少年がいました。

ピーターパンは大学四年生でもうすぐ卒業というところでした。
でも”少年”なのです。心の弱い、弱い少年だったのです。
少年にも夢がありました。
サッカー選手になりたかった。しかし自分のあまりの体力のなさに挫折してしまいました。
ミュージシャンになりたかった。しかし自分のあまりの歌唱力のなさに挫折してしまいました。
物理学者になりたかった。しかし量子力学の高度な領域を理解できなくて挫折しました。
ピーターパンはたくさんの夢を見ましたが、たくさんの挫折を繰り返したのち、夢を亡くしてしまいました。
無気力になった少年は就職先も決まらず、この春からニート決定なのでした。

そんなある日、ピーターパンの身に異変が起こります。
いつものように無気力なピーターパンは、たまった食器を見て、皿洗いいやだな、今日はやめよう、と思いました。
するとピーターパンの上半身が膨らんで一回り大きくなったのです。少年はそのときはあまり気にも止めませんでした。
次にピーターパンはたまったレポートを見て、レポートなんて書けないよ、もういやだ、と思いました。
するとピーターパンの上半身は膨張してまた一回り大きくなったのです。少年は少し驚きましたが、気にしませんでした。
ピーターパンはその後も、卒業研究いやだな、授業に出るのいやだな、起きるのいやだな、生きてるのいやだな、と思いました。
すると、そのたびに上半身が膨れ上がっていくのでした。
そしてついに、大きく重くなりすぎた上半身を支えられなくなって、ピーターパンの足が崩れ落ちました。
そして少年は身動き取れなくなったのです。
ピーターパンは思いました。動けない、動けない、こんなのいやだ、こんなのいやだ!

するとそこへ妖精があらわれました。
「どうしたの、少年?」
「身動き取れなくなってしまったのです」
「でも、これはあなたが望んだことなのよ。あれもいやだ、これもいやだとあなたが思ったから、なにもできないようになってしまった。これはあなたが望んだことなの」
「そんな、いやだよ、動けないなんていやだよ!こんなこと、望んでなんかないよ。」
「助かる方法がひとつだけあるわ。あれがしたい、これがしたいと思うのよ。そうすれば、あなたの上半身はどんどん縮んでいくわ。そして元通りになる。」
ピーターパンはいろいろなことを思いました。
「おいしいものをたらふく食べたい!お金持ちになりたい!有名人になりたい!おもしろい話ができるようになりたい!スポーツ万能になりたい!頭がよくなりたい!たくさんの女の子と寝たい!」
少年の上半身はどんどん縮んでいって、すっかり元通りになりました。
「これであなたはもう大丈夫。いやだいやだとばかり言ってないで、これからはあれもこれもやりたいと思って、いろんなことをやりなさい、挑戦しなさい。世の中にはおもしろいことが山ほどあるんだから」
青年は言いました。
「妖精さん、早速ですが、今晩どうですか?」

テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

僕らの知らないところで

少年は働いている。12歳ながら、大手のパン工場で働いている。
未成年の深夜労働は法律で禁じられているが、工場長は少年の家庭の事情を考慮して少年が働くことを黙認していた。
少年の父親はタクシードライバーだった。
タクシー業界の大不況の影響でもともと稼ぎが悪かったのだが、数ヶ月前の事故でその父親は全身不随になってしまった。
母親はパン工場で働いていた。少年がパン工場で働けたのは、母親のはからいがあってのことだった。
事故以来母親は父親の看病と深夜のバイトで心身ともに疲れ果てていた。
少年はそんな母親を見て、自分が働かなければ、と思ったのだった。

少年は中学生になる。
父親の体は一生動かない。しかし意識は鮮明である。それが逆に父親を苦しめるのだが。
母親のバイトは日勤になった。体調を崩すことが多くなったからだ。
夜勤は体に負担がかかる、少年は母親を気遣った。
少年はだから、週に五日深夜バイトをすることになる。
学校にも休まずに通っている。成績は当然悪い。
授業の大半は眠ってしまう。授業内容などまるで入ってこない。
夢の中で見るのはバイト作業のことだった。小麦粉1kg、グラニュー糖100g、イースト20g、、、。
クラスメイトは少年をいじめる。頭悪いなお前、眠ってばっかりじゃないか。
先生にも同様の指摘を受ける。
少年は思う、なんで自分だけこんな目に合わなければならないのだろうか。
しかし父親を恨むことはできなかった。全身ぐったりとしたまるっきり不自由な父親を責めることなどできるはずもなかった。

少年は高校生になる。いや、高校生の年齢になる。高校には進学しなかった。
少年はパン工場で働きはじめて数年になっている。
バイトの人間は次々と入れ替わる。少年だけはずっと働き続けている。
18歳にも満たない少年は、しかし仕事に関しては先輩格であった。
パン生地の生成から成形、焼き加減から包装にいたるまで、パン工場で行われるほとんどの作業に通じていた。
少年の若い頭脳はあらゆるものを吸収していたのだった。
18歳になるやいなや少年は、いや青年は洋菓子課のチーフを任されることになる。
たまたまそこに空きが出たからだったが、青年は歓喜する。洋菓子、ケーキだ。
青年はケーキをつくる。週に五日、何千何万のケーキをつくる。
母親はすでにバイトをやめている。青年は十分に家族を養えるようになっている。
19歳、青年は新作ケーキの開発に携わっている。工場での長年の経験を活かして、新しいケーキを開発する。
目にしてきた数多のケーキ、作業工程のことまで考えた、洗練されたケーキデザイン。青年はパン工場の中枢にいる。
青年が開発したケーキは売れる。大いに売れる。
青年の評価は上がる。ケーキ以外の開発にも抜擢される。
青年はパン作りのプロになっている。パン工場の、いやこの大手製パン会社の中心人物になっている。

さて、青年のかつてのクラスメイトたちは、まだ勉強している。
大学で、あるいは塾で勉強している。
青年を、いやかつての少年を見下していた連中は今なお勉強している。
なんのための勉強なのかも理解せずに、ただただ勉強している。
そうしてさえいれば未来は開けると思っている。
青年はそんな世界のことなど知らない。勉強のことなどまるでわからない。
しかし青年は君臨している。若くして、パン業界の中心人物となっているのである。青年が生み出したパンは日本中で、いや世界レベルで食されている。
パン工場で育てられた少年は、いまや世界中にパンを生み出す青年となっているのである。
大学の講義を聞きながら新作のパンをかじるかつてのクラスメイトはそんなことかけらも知らない。

魔法は僕らの知らないところで起こっている。。

テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

真っ赤な花

「クリスマスは稼ぎ時だなあ、、」
おなじみの赤い服を着た男はつぶやいた。そして声を張り上げる。
「メリークリスマス!クリスマスプレゼントはトイワールドで!!」
クリスマス前日、おもちゃ屋さんは賑わう。
お母さんは子どもに「クリスマスプレゼント、何がほしい?」などと聞いている。
おなじみの赤い服の男は笑みを浮かべる。

そこへ一人の中年の男がやってきた。
「あなたは本物のサンタクロースですか?」
「え?」
相手が子どもなら「もちろん私がサンタクロースだよ」と答えるところだが、相手が中年男とみると躊躇した。だが、この男の目、マジである。
「ああ、私はサンタクロースだよ、、」
「嘘つくんじゃねえよ!!」
中年男はいきなり背後に隠してあった金属バットで赤い服の男をメッタ打ちにした。
「サンタがなんでプレゼント売ってんだよ、バカ野郎が!」

中年男は街中の“偽サンタ”を撲殺していった。使命を感じていた。
偽者のサンタが多くなったから本物のサンタがやってこなくなったんだろうが!
それが男の言い分。偽者サンタを撲滅することによって本物サンタを迎えようというのだ。
しかし彼は間違っていた。

あのトイワールドのサンタクロースは本物だったのだ。
サンタクロースは昔、たしかに子どもたちにプレゼントを渡していた。無償で。
しかし現在ではいくぶん事情が違っている。
昔は宗教が世界を支配していたが、今は資本主義の時代である。
慈善だけではサンタも生きていけなくなったのだ。
資本主義サンタは自然、金儲けに向かうようになっていった。
トイワールドの売り上げはおもちゃ業界で世界一位を誇るようになった。
おかげでサンタクロースは世界中の子どもたちにプレゼントを行き渡らせることができるようになったのである。

みなさま、トイワールドのサンタクロースこそ本物のサンタクロースなのです!!

名も知らぬ中年男よ、メリークリスマス!
銃声一発。
白い雪に真っ赤な花が咲いた。。

いらない贈り物

12月22日。もうすぐクリスマスだ。
だけど僕はサンタさんを信じていない。
来るはずないんだ。

まだクリスマスにもなっていないのに街のあちらこちらに現れるサンタクロース。
あいつらはみんな偽者だ。
トナカイなんて着ぐるみじゃないか。バレバレなんだよ。

こんな真夏にあんな暑苦しい格好しちゃってさ。馬鹿みたい。

そうそう、オーストラリアのクリスマスは真夏なんだ。
クリスマスのイメージって冬なのにさ、現実は真夏なんだ。頭がおかしくなっちゃう。
本物のサンタさんだって、あんな暑い格好してるんだから、こんな真夏の南半球までプレゼント届けてくれるわけないよ。

だから僕はサンタさんを信じていない。
来るはずないんだ。
信用していないんだ。

北半球の子どもたちばかりにプレゼント配っちゃってさ、ずるいよ。
半そで着て南半球に来てくれたっていいじゃないか。
なんであんな格好にこだわるんだよ。馬鹿。

今年で僕は14歳。え、もっと年下に見えるって?
ちっちゃいからってなめんなよ。
来年15歳になるから、今年が最後のチャンスなんだ。
サンタにプレゼントもらえる最後のチャンス。
だって子どもしかもらえないんだもん。15歳からは大人でしょ?

で、僕は旅立つことにした。北半球へ。雪が降るところへ。
サンタのイメージからフィンランドにしました。
たった一人でフィンランド旅行。
うん、なんだかもうすでに子どもじゃない気分だね。
プレゼントもらえなかったりして。
飛行機代だけで60万円かかっちゃった。

サンタさん、60万円に見合うだけのプレゼントたのむよ。

僕は結局お金がないので野宿することになる。野宿っていうか、雪宿!?
雪が降る中、外で眠るなんて、オーストラリア育ちの僕にはこたえるよ。
飛行機で30時間かかって、それから半日移動してるからもう12月24日の夜なんだよね。
クリスマスイヴの夜、いよいよサンタさんに会える!
僕は凍える夜の中で眠らないように眠らないようにがんばった。
サンタさんに会いたいから。
というか、死なないためでもあったりして。
でも僕はうっかり眠ってしまったのである。
僕はまだ子どもだった。

次の朝、僕の枕元には、といっても枕なんてないよ、雪の上!には、プレゼントがあった。
しっかりと、くつしたの中に入ってた。
僕はサンタクロースの物語に忠実に従って、枕元に、いや雪の上!にくつしたをおいておいたのでした。
おかげで僕の右足はカチンコチンに凍っていた!
さて、肝心のプレゼントですが、、、

ああ、僕はなんでサンタさんに欲しいものをお願いしなかったんだろう!
あれが欲しい、これが欲しいとあんな方法やこんな方法で伝えていればよかったのに!
サンタさんは僕にとって一番必要なものだと思ってプレゼントしたんだろうね。

オーストラリア行きのチケット。
いらねーよ!!!

でもたしかに60万円に見合うだけのプレゼント。。

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プロフィール

54notall

Author:54notall
横浜国立大学マルチメディア文化課程。
爆笑問題太田さん、ダウンタウン松本さん、B'z稲葉さん、ラルクHYDEさん、椎名林檎さん、マイクル・クライトン、、に強く影響を受けています。
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