2006.04.19 名探偵ドイル
「キャー!!!」

一軒家の前でゴミ袋を片手に女性が叫んでいる。
そこには男が一人倒れていた。

女性「誰か、誰か来て〜!」

そこへ季節外れのコートを着た男性が現れる。

男性「どうされました?」
女性「ごみ捨てに行こうとしたら家の前で男が倒れていたんです。」
男性「これはこれは、死んでるんですか?」
女性「わかりません」
男性「では脈を計ってみましょう」

コートの男性は倒れている男の手首をつかんで脈を計った。

男性「だめですな。亡くなってます。
   ところで奥さん、この男を知ってますか?」
奥さん「いえ、知りません。どうして家の前でこんな、、、。
    ところであなたは誰?」
男性「申し遅れました。私は名探偵ドイルです。」
奥さん「まあ!探偵さん!」
ドイル「大丈夫。私が事件を解決しましょう。」

そこへ2人のカップルが通りかかる。
青年は倒れている男をチラッと見たが何事もなかったかのように歩き去ろうとした。

ドイル「待ちたまえ!」
カップル「えっ?」
ドイル「君たちにはこの変死体が見えないのかね?」
彼女「だから何だって言うの!私たちには関係ないでしょ!」
ドイル「犯人はこの中にいる!!」

ドイルの一声に他の3人は驚く。

青年「おいおいなに言ってんだよ。俺らはここを通っただけだぜ?関係ないだろ?」
ドイル「犯人は必ず犯行現場に戻ってくると言うじゃないか。
    ところで君はこの男を見たことがあるか?」
青年「ありません。」
ドイル「嘘をつくんじゃない!」
青年「嘘じゃねぇよ!今日初めて見る顔だよ!」
ドイル「君はさっきチラッと男を見たじゃないか。なのに見たことがないというのは嘘だろ。
    嘘をつくなんて怪しいな、お前。」
青年「めちゃくちゃだなあんた、、」

ドイル「何か手がかりはないか、、、」

ドイルは倒れている男のポケットの中を捜し始めた。

ドイル「お!財布があったぞ、、、中身がない。おかしいな、、
    青年、君の財布を見せてもらおうか。」
青年「何でだよ!」
ドイル「見せろ!」

ドイルは青年のポケットから財布を奪った。

ドイル「2万円も入ってるじゃないか!倒れている男の財布にはぴったりの額だな。」
青年「デートだから多めに持ってきたんだ!」
彼女「まあ、ダーリン!」
ドイル「盗んだお金でデートとはあきれるね。このお金は預からせてもらうよ」
青年「おい、お前、めちゃくちゃだぞ!誰か〜誰か〜!」

そこへ警官が現れる。

警官「どうしました?」
青年「この男がめちゃくちゃなんです。」
ドイル「これはこれは保安官。私は名探偵ドイルです。」
警官「これはこれは名探偵ドイルさん。ごくろうさまです。」

青年「え〜!こいつ本当に名探偵なの!?
   よく見ると立派な探偵に見える、、、
   なんか俺、自分が本当に犯人のような気になってきた、、、」

ドイル「ところで保安官、この男に見覚えはありますかな?」

警官は倒れている男の顔をじ〜っと見た。

警官「う〜ん、どっかで見たことがある顔だな〜
   でもないか。知らない人です。」
ドイル「何か他に手がかりはないか、、、」

ドイルは周囲を見回した。

ドイル「奥さん、そのゴミ袋、いいですか?」
奥さん「え、あの、、、」

ドイルは奥さんの手からゴミ袋を奪い、中身を調べ始めた。

ドイル「これは!」

ゴミ袋の中から血で真っ赤に染まった包丁が出てきた。

ドイル「まさか奥さん、あなたが犯人なんじゃ、、、
    第一発見者が犯人だって言うし!」
奥さん「ち、違いますよ!だって男を見てくださいよ、血なんてどこにも出てないでしょ!」
ドイル「本当だ。じゃあこの包丁は凶器でもなんでもないですな。
    いや奥さん、疑ってすいません。」

警官「名探偵殿、ところで死因はなんなんです?」
ドイル「調べましょう。」

ドイルは倒れている男の全身を念入りに調べた。

ドイル「目立った外傷はありませんな。
    強いて挙げるなら親指をかじった跡がありますが、これは男のクセでしょう。」

青年「あの、僕も親指をかじるクセがあるんです」
青年は親指をかじって見せた。
彼女「ちょっと、そんなのどうでもいいでしょ!」
警官「奇遇ですな、私も親指をかじるクセが」
警官は親指をかじって見せた。
ドイル「これはおもしろい。実は私もなんですよ」
ドイルは親指をかじって見せた。
奥さん「あの、、、実は私も」
奥さんは親指をかじって見せた。

一同「もしかして、、、」
一同は親指をかじりながら一斉に彼女の方を見た。

彼女「ダーリンには黙ってたけど私も親指をかじるクセがあるの。」
彼女は親指をかじって見せた。

ドイル「これは単なる偶然だろうか、、、」
一同「う〜ん、、、」

そこへ神父さんが現れる。

神父「おいおいおいおい!
   みんなで親指かじって何してるんだ?
   新しい宗教か?」
警官「これはこれは神父さん。
   実は男が死んでまして、祈ってくださらないか」
神父「お安い御用です。」

神父さんは目を閉じ祈りの言葉をささやいた。

神父「不幸にして死する魂よ、天に昇りたまえ、、」

すると男はすっくと起き上がった。

奥さん「まあ!霊が起き上がった!」
警官「これが成仏というやつか!初めて見た!」
彼女「神父さん、すご〜い!」
神父「何?」 
神父さんは目を開けた。起き上がった男を見た。

神父「わ、わ〜〜!!幽霊だ〜〜!!!」
神父は走って逃げた。
警官「自分で幽霊をひっぱり出しておいて何を、、」

起き上がった男がしゃべり始めた。

男「私は一体ここで何を?」
警官「幽霊さん、成仏してください」
男「幽霊?何を馬鹿なことを、私は生きてますよ」
警官「だって死んでたでしょ?」
男「ほれ、ちゃんと足もある」

警官「あれ、だって奥さん、死んでるって、、」
奥さん「そう思ったんですけど。でも探偵さんだって脈が無いって」
ドイル「あれれ〜?脈の計り方間違えたかな?」
青年「おい、おとぼけ少年演じてんじゃねぇよ!」

警官、男の顔をまじまじと見ている。

警官「あれ、お前どっかで見た顔だな、、、」
男「あの、、」
警官「あ!お前は連続空き巣魔の男だな!」
男「うわ〜!!」

男は走って逃げた。

警官「捕まえろ〜!!」
警官は走って追いかけた。
彼女「ダーリン!おもしろそう!待て〜!!」
彼女は走って追いかけた。
青年「ちょ、待てよ!」
青年は走って追いかけた。
ドイル「あ!青年!2万円返すよ〜!」
ドイルは走って追いかけた。

奥さん「はぁ〜。みんないなくなっちゃった。やっと『ゴミ』を捨てられるわ。」
奥さんはゴミ袋を持ってゆっくりとみんなとは反対の方へ歩いていった。

家の中から血まみれの夫が出てきた。
血まみれ夫「家の中では俺が血まみれになって死んでいるのに、なんで誰も助けてくれないのよ〜!!」

そこへ神父さんが歩いてきた。

神父「幽霊なんて、やなもの見ちゃったな、、」

神父さんは立ち止まり、血まみれ夫と目が合った。

神父「うわ〜〜!!悪霊になってる〜〜!!」
神父さんは走って逃げた。

血まみれ夫「神父さん!どうかお祈りして下さい〜〜!!」
血まみれ夫は走って追いかけた。。