2006.05.15 RED ROSE
私の周囲の空間から心臓の音が聞こえてくる。
空気を揺るがす大きな大きな鼓動。
それは私の心臓の鼓動ではない。別な誰かの、鼓動。

私の前方で誰かが歌っている。
それは、、アクセル・ローズだった。
曲名はわからなかったが、確かに目の前でアクセル・ローズが歌っているのだった。

アクセルはおもむろにナイフを喉元に突きつけた。
ナイフの先端が皮膚に当たり真っ赤な血が一筋流れた。
アクセルは歌っている。

ナイフはさらに深く刺さり、喉を下に向かって切り裂いていった。
溢れ出す大量の鮮血。
アクセルの歌はまだ続いていた。
アクセルは笑っていた。
私の周囲の心臓の鼓動は大きく速くなっていた、、

目覚めると、ヘッドホンからGUNS N' ROSESの「COMA」が流れていた。。
僕は長いトンネルを歩いていた。
はるか遠くに見える光に向かって。

トンネルの壁面には、動く写真というような映像が所狭しと貼られている。
自分が子どもだった頃の思い出。
赤ん坊の僕に母乳を与える母さん、それを見守るおばあちゃん。
記憶に残っていないはずの忘れたはずの思い出までもが並んでいた。
こんなことがあったんだ。

歩いていくにつれて、動く写真の僕は成長していった。
ああこんなこともあった、と懐かしい思い出に浸った。
楽しい思い出ばかりではなく、悲しい思い出やつらい思い出もそこにはあった。
自分が犯してしまった悪事に本当に申し訳なく思ったりもした。

動く写真の僕は大人になっていた。
なんだか子どもの頃と比べると写真の数が減ったように思う。
少ない思い出、薄っぺらい時間。
写真の数が減っているのだから時間は濃密に過ぎていくはずなのに、変わらない自分。
子どもの頃はなにもかもが新鮮に思えていたのに、大人になってからは新しいものに出会わなくなった。
だから思い出に残るようなことも少ないのだ。そう思った。

気がつくとトンネルの最後のところまで来た。
光は眩しすぎて一寸先も見えない。何があるのかわからない。
僕は気づいた。これ以上踏み込めば「死」だ。

僕は立ち止まった。死にたくない。
ふと、壁面の写真を見た。
自分が死ぬ瞬間の動く写真が所狭しと並べられていた。
自分が死ぬ瞬間の映像が何重にも繰り返されている。
恐ろしい、恐怖に歪む表情。

僕は引き返そうと振り向いた。
しかし、そこは完全な闇だった。
壁面の写真は消え失せていた。
あるのは自分が歩いてきた長い長い道のりを重ね合わせた深い深い闇だけだった。
もう引き返せないんだ。
僕の周囲の壁からは死ぬ瞬間の僕の悲鳴が聞こえてくるようだった。
僕はもう立ち止まってなどいられなかった。

僕は光に飛び込んだ。。
私は小学校低学年だった。
公園で友達数人と遊んでいると知らないおばあさんが声をかけてきた。
「私の家で指輪を探してくれないかい?」

好奇心旺盛な僕たちはおばあさんの家に行った。レンガでできた洋風な家だった。
家に入るとまずミニトマトが目に入った。
友達のひとりがそれを食べようとしたが、おばあさんは「それは食べちゃいけません」と言った。

僕たちは宝探しをしている気持ちで指輪を探した。みんな楽しそうだった。
おばあさんが「私はちょっとみんなのためにケーキを買ってくるよ。」と言ってでかけた。ケーキと聞いて、みんなうれしそうだった。
しかしおばあさんがいなくなったのを見計らって、みんなサボりはじめた。指輪を探すのをやめて遊びはじめた。
僕はひとり探し続けた。

いつのまにか夕方になり、日も暮れ始めていた。おばあさんはまだ帰ってきていない。指輪もみつかっていない。
誰かが「帰ろう」と言ったのをきっかけにみんな帰ってしまった。
僕はひとり残って指輪を探し続けた。

日もすっかり暮れて夜になっていた。指輪はまだみつかっていない。おばあさんは帰ってこない。
僕はお腹が減っていた。悪いなと思いつつ、冷蔵庫を開けた。
中にはサンドイッチがあって、「食べてください」と紙に書いてあった。
ココアもあったのでコップに湯を注いで作った。
ココアとサンドイッチの夜食。ココアは粉を入れすぎて甘かった。

僕は溺れていた。
もがくけど体が重くて動けなかった。深い深い海の底に落ちていった。
すると、海の底のさんご礁に指輪がひっかかっていた。
僕はついに指輪をみつけた、、

いつの間にか寝てしまっていたようだ。窓の向こうが白々明けてきていた。もう朝だった。
指輪はみつかっていない。おばあさんは?

お腹が減っていた。冷蔵庫の中にはもうなにもなかった。
僕はあることを思い出した。玄関のところにミニトマトがあった。
おばあさんが「食べてはいけない」と言っていたことも思い出したが、ミニトマトの鮮やかな赤を見ていると、食べたい気持ちを抑えきれずにミニトマトを食べてしまった。
真っ赤に熟したトマトは甘くておいしかった。青いトマトを残して赤いトマトは全部食べてしまった。

ガチャ
後ろでドアが開いた。やばい、おばあさんにみつかる!と思った。
振り向くと知らないおじさんが立っていた。

「君は何をしているんだ?」
僕はおばあさんに指輪を探すのを頼まれたこと、おばあさんがケーキを買いに行って帰ってこないこと、指輪がまだみつかっていないこと、、を話した。
「頼まれたのはいつ?」
「昨日の昼です」
「そんなバカな、、」

おばあさんの名前はベル。ベルおばあさんは昨日の早朝に亡くなった。
海で溺れて。
引き上げたとき、ベルおばあさんの指から指輪がなくなっていた、、

「あの、、おじさんはおばあさんとどういう関係で、、」
「ベルと僕は夫婦なんだ。年の差カップルってやつさ。指輪は結婚指輪だったんだ、、」
おじさんは今にも泣きそうな顔になった。

僕はハッとなった。
冷蔵庫のサンドイッチはおじさんのためにベルおばあさんが作ったものだったんだ。一人分しかなかったもの。
僕は本当に申し訳なくなった。おばあさんの最後の手料理を食べてしまった。指輪もみつけられないこの僕が、、
ミニトマトを全部食べてしまったことも申し訳なかった。
きっとこのミニトマトはおじさんの大好物に違いない。そんなことも知らずに、、

僕とおじさんは青いミニトマトの前で泣いた。。
2006.04.14 ピッコロ
その日、夢の中で私はピッコロだった。
ベジータと戦っているところだった。

私はエネルギー波を出そうとした。
が、出し方がわからなかった。

手のひらをパーにして腕を力強く突き出してみたが、
何も出なかった。

腕を引いて「はぁぁぁ〜」と言いながら手のひらに力を集中しエネルギーを溜めるようにしてから思いっきり腕を突き出したが、
やはり何も出なかった。

ベジータはうっすら笑みを浮かべながら近づいてきた。
私は何もできなかった。

そして、
食われた。。
2006.04.13 緑の線路
砂漠になる前の荒地。どこまでも続く渇れた大地に私はいた。
綱引きの綱ほども太い茎が何本も絡み合ったものが一本の道のように続いていた。
その「緑の線路」に沿って私は歩いていた。

緑の線路の上を列車が走ってきた。植物で覆われた「緑の列車」。
これに乗れば目的の場所へ行けると思った。しかし近づいてくると列車の中で2匹の恐竜が暴れているのが見えた。
なんということだ、もうおしまいだ。ということはあいつらも殺られたのか。
緑の列車はもの凄い勢いで通り過ぎていった。


私の村は突然現れた2匹の恐竜によって壊滅させられたのだ。父も母もみんな殺されてしまった。私は命からがら逃げてきたのだ。隣町まで行ってこの危機を伝えようとしていたのだ。
私の仲間は列車で隣町まで行くはずだった。しかし・・・。
まずい、このままでは何も知らない町の人々はあの2匹の恐竜に殺されてしまう!
なんとかして列車より速く隣町まで行かなくては!なんとかして列車を止めなくては!

。。