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大学入試

センター試験。それは人生を左右するテストだった。この回答で自分の人生が決まってしまうと思うと緊張せずにはいられなかった。パニック状態、冷静に考えることができなかった。焦りが私を支配していた。

高まる緊張、
抑えきれないプレッシャー、
そして、、、

    ぷすぅ~~~

私にとってそれはおしりからもれる会場に響き渡る悲鳴だった。

試験官と目が合ってしまった。
だめなのか?マナー違反で追い出されるのか?おならはOKじゃないの??

試験前日、私は合格祈願ということで大学いもを食べた。カツ丼なんてたんぱく質と脂肪の塊みたいなものは消化に悪く、内臓に負担をかけ、即効的なエネルギーにはならない。いもなら、炭水化物で、すぐエネルギーとして使える。それに大学いもというネーミングは縁起がいい、、

しかし
それが災いした。

いもはお腹の中で発酵するからおならが出やすいとは、、

私は集中できなかった。おならを我慢するので精一杯だった。
しかし耐え切れず、、

   ぷすぅ~~~~
ぷぅ
じゃなくて
ぷすぅ~~~

音を消すのに精一杯だった。

おならが出るたびに私の前の席の女の子の肩が揺れた。
笑われてる、、、恥!!

そして、、

く、、くっさぁ~~

臭いまでは抑えられず。

女の子の笑いも失せてしまった。ごめんなさい。

その臭いで緊張が解けてしまい、、

ぶぶっぶ~~~!!

思いっきり音を立ててしまった。
すると
教室中の学生が笑い出してしまった。

もうイヤだ~~~!!!

そんなわけでセンターはボロボロだったのでした。

受験生のみなさん、大学いもはやめましょう。。
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おばあさんの指輪

私は小学校低学年だった。
公園で友達数人と遊んでいると知らないおばあさんが声をかけてきた。
「私の家で指輪を探してくれないかい?」

好奇心旺盛な僕たちはおばあさんの家に行った。レンガでできた洋風な家だった。
家に入るとまずミニトマトが目に入った。
友達のひとりがそれを食べようとしたが、おばあさんは「それは食べちゃいけません」と言った。

僕たちは宝探しをしている気持ちで指輪を探した。みんな楽しそうだった。
おばあさんが「私はちょっとみんなのためにケーキを買ってくるよ。」と言ってでかけた。ケーキと聞いて、みんなうれしそうだった。
しかしおばあさんがいなくなったのを見計らって、みんなサボりはじめた。指輪を探すのをやめて遊びはじめた。
僕はひとり探し続けた。

いつのまにか夕方になり、日も暮れ始めていた。おばあさんはまだ帰ってきていない。指輪もみつかっていない。
誰かが「帰ろう」と言ったのをきっかけにみんな帰ってしまった。
僕はひとり残って指輪を探し続けた。

日もすっかり暮れて夜になっていた。指輪はまだみつかっていない。おばあさんは帰ってこない。
僕はお腹が減っていた。悪いなと思いつつ、冷蔵庫を開けた。
中にはサンドイッチがあって、「食べてください」と紙に書いてあった。
ココアもあったのでコップに湯を注いで作った。
ココアとサンドイッチの夜食。ココアは粉を入れすぎて甘かった。

僕は溺れていた。
もがくけど体が重くて動けなかった。深い深い海の底に落ちていった。
すると、海の底のさんご礁に指輪がひっかかっていた。
僕はついに指輪をみつけた、、

いつの間にか寝てしまっていたようだ。窓の向こうが白々明けてきていた。もう朝だった。
指輪はみつかっていない。おばあさんは?

お腹が減っていた。冷蔵庫の中にはもうなにもなかった。
僕はあることを思い出した。玄関のところにミニトマトがあった。
おばあさんが「食べてはいけない」と言っていたことも思い出したが、ミニトマトの鮮やかな赤を見ていると、食べたい気持ちを抑えきれずにミニトマトを食べてしまった。
真っ赤に熟したトマトは甘くておいしかった。青いトマトを残して赤いトマトは全部食べてしまった。

ガチャ
後ろでドアが開いた。やばい、おばあさんにみつかる!と思った。
振り向くと知らないおじさんが立っていた。

「君は何をしているんだ?」
僕はおばあさんに指輪を探すのを頼まれたこと、おばあさんがケーキを買いに行って帰ってこないこと、指輪がまだみつかっていないこと、、を話した。
「頼まれたのはいつ?」
「昨日の昼です」
「そんなバカな、、」

おばあさんの名前はベル。ベルおばあさんは昨日の早朝に亡くなった。
海で溺れて。
引き上げたとき、ベルおばあさんの指から指輪がなくなっていた、、

「あの、、おじさんはおばあさんとどういう関係で、、」
「ベルと僕は夫婦なんだ。年の差カップルってやつさ。指輪は結婚指輪だったんだ、、」
おじさんは今にも泣きそうな顔になった。

僕はハッとなった。
冷蔵庫のサンドイッチはおじさんのためにベルおばあさんが作ったものだったんだ。一人分しかなかったもの。
僕は本当に申し訳なくなった。おばあさんの最後の手料理を食べてしまった。指輪もみつけられないこの僕が、、
ミニトマトを全部食べてしまったことも申し訳なかった。
きっとこのミニトマトはおじさんの大好物に違いない。そんなことも知らずに、、

僕とおじさんは青いミニトマトの前で泣いた。。

テーマ : 夢小説
ジャンル : 小説・文学

雷音

雷音が吼えている。
夜闇を切り裂く一閃の光。青白い炎。
空気が震えている。雷音の叫びに怯えているかのように。
こんな日は家の外に出てはいけない。

「食い殺されるぞ!」

窓の外を見た。
叩きつける豪雨の中に男が一人立っている。
男は人差し指を天に掲げた。

雷音の牙が男の人差し指を襲った。
凄まじい轟音が響き渡る。
男はまばゆい光に包まれた。

男と雷音は一体となった。
そして言った。

「我は、神也」。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

睡眠は未来への

授業中にうとうとしちゃって、いつの間にか眠っちゃって、目が覚めたらちょうど授業が終わるところ。ほんの少し目を閉じただけなのになあ。そんなことってよくある。
これは一種のタイムスリップなのではないか。目を閉じた瞬間に時間軸を滑っていって少し先の未来に飛んだ。うとうとしているとき、現実から切り離されたような、あいまいな感覚がある。これは不安定な時間軸にいるために感じることなのではないか。

シンジはそんなことを考えていた。
睡眠は未来へのタイムスリップなんだ。

シンジは現在の世の中にうんざりしていた。
テロとの戦いだかなんだか知らないが、戦争したくてたまらない国があって、他国に落ち度はないか、攻撃する理由がないか、と探り合っている世の中にはうんざりだ。
それでも、侵略のための戦争はなくなったのだから、人類は進歩してきたといえる。もっと先の未来になったらどんな理由の戦争もなくなるだろう。
早く平和な世の中にならないかなあ。

そんなことを考えていたシンジは未来に行きたかった。平和になった未来に行きたかった。
睡眠は未来へのタイムスリップなんだ。


最後の日、シンジは学校を休んで一日中遊びまくった。
次に目が覚めるのは数百年後だ。数百年分遊んでおくぞ。
現在はうんざりする世の中だが、楽しい面もたくさんあった。現在の楽しい部分をたっぷり味わっておきたかった。
過去には二度と戻れないんだ。

最後の晩餐にはでっかいステーキを食べた。デザートには大好物のマスクメロン。
食べ過ぎてお腹がぱんぱんで少し苦しかった。
我ながら要領が悪いな、でも最後くらいハメはずさせろよ。

シンジは布団に横になった。
よ~し、数百年眠るぞ。起きたら平和な未来だ。楽しみだなあ。
そして目を閉じた。一日中遊びまくった身体は一瞬にして深い眠りについた。

シンジは永い眠りについた。人間が一生のうちに眠る総時間よりも永い眠り。
「永遠の眠り」と形容してもいいくらいに深く眠っていた。


長い長いトンネルにいるようだった。青や白や黒に色が変わるトンネルを猛スピードで飛んでいく、、

永い眠りの末にシンジは目を覚ました。
「ここはどこだ?」「あれ、私はだあれ?」
最初はなんだかわけがわからなかった。記憶がなくなった人みたい。
永い眠りの中で記憶のすべてを忘れてしまったかのような。

何かを思い出そうと目を閉じ記憶を探し始めた。
長いトンネル、、青白黒、、、飛んで、、、、
そうしているうちにシンジはまた眠ってしまった。

海の中にいるようだった。海底に何か大事なものがあるような気がして、必死に潜ろうとするのだけど、身体はどんどん浮き上がっていってしまう。大事なものから離れていく、、

シンジは再び目を覚ました。
いかん、二度寝しちゃった。起きなきゃな。
シンジはようやく世界を見た。そこには色とりどりの花が咲き乱れていた。
うわあ、キレイだなあ。まるで夢のよう、、まさかまた夢じゃあるまいな。
シンジは赤い花のにおいを嗅いでみた。
ああ、いいにおいだ。これは夢じゃないぞ。
すると記憶がよみがえってきた。
そういえば、昨日はマスクメロンを食べたんだった。ステーキも。
あれ、昨日じゃないな、、数百年の眠り、平和な未来、睡眠は未来への、、、
あ!

シンジは走り回った。数百年分の運動不足を補うように。
すごいすごい、お花だらけの未来、争いごとなんてどこにもないぞ、平和だ!
さすがに数百年ぶっ通しで走り回ることはできなくて、数分で走るのをやめた。
心臓の鼓動と興奮は激しくて、足は止まっても思考は走り続けた。
これが未来なのか。いや、現在か?未来が現在になって、現在が過去になって?どうでもいいや。花の世界なんてすばらしい。コンクリートで固めた世界なんてうんざりだったから、こんなに自然に溢れた世界なんてすばらしい。色とりどりの世界、生命に満ち溢れている!ああ平和な世界!

心臓の鼓動が落ち着くにつれて、気分も落ち着き始めた。
でも、ここはどこだ?僕の部屋はどこ?布団で眠っていたはずなんだけどなあ、、
取り壊されちゃったのかなあ、でもなんで僕だけ眠ったまま取り残されるなんてことある?

シンジは不安になってきたので、誰かにこの状況を聞きたくなった。
花畑を歩いていくと、おばあさんがいた。
「すいません、ここどこですか?」
「あら、新人さん?たまにいるのよねえ、気づかない人。」
「え?」
「ここは天国ですよ」

さっきまで高まっていた心臓の鼓動と、さっきまで走り回っていた二本の足はどこかへ消えてしまった。


シンジはそれでも満足だった。
争いのない世界、悲しい死のない世界。天国はまさに平和な世界だった。

睡眠は未来へのタイムスリップなんだ。
自分が死んじゃった未来にまで飛んじゃったんだ。
でも数百年分遊びまくって来たんだからよしとしよう。

これからは平和な未来を満喫しよう。。


「天国」はヴァーチャル空間だった。
睡眠が未来へのタイムスリップだと考える人間は少なくなかった。苦しい現在をやり過ごすために、睡眠によって未来へ飛ぼうとした人間はたくさんいた。
シンジと同じように数百年後の未来へ行きたいと思う者もいた。永い眠りにつく者たち。
しかし彼らは目覚める方法を知らなかった。眠ったきり目覚めない者がたくさん出てきたのだ。
永く眠り続けていると、身体から幽体が離脱してくる。朝起きたときに身体に力が入らなくて思うように動けないことがあるが、それは幽体が完全に身体に戻っていないために起こる現象である。
離脱した幽体は現実世界をさまよう。現実世界をさまよう幽体は故意にではなくともさまざまな悪影響をおよぼす。心霊現象は多くの人にとって嫌なものである。
そこで、ある科学者が離脱した幽体を集める装置を作った。それが「天国」である。

「天国」は幽体をただ集めるだけではない。「天国」は幽体が見たい夢を見させる。だから「天国」なのである。幽体にとって天国のような世界があるのだ。
「天国」が作られた理由は、現実をさまよう幽体に天国のような夢を見させたいという願いからだった。
しかし今は違う理由がある。「天国」の映像は衛星テレビで放映されているのだ。
月10万円という高額にもかかわらず、加入者数は全世界で1億人を超えている。他人の夢、天国を見ることができるというのは魅力的なことなのだ。
天国にもいろいろある。ひどくワイセツなものや、暴力的なもの、グロテスクなもの、マニアに受ける天国はたくさんあるのだ。ある人にとっての天国はある人にとっては地獄かもしれない。

「天国」にいる幽体は身体と切り離された存在になっているので、寿命は存在しない。永遠に夢を見続けられるのである。まさに永遠の眠りというわけだ。
他人に見られているとも知らずに天国を楽しむ幽体。大金が生まれているのに一銭ももらえない。無償労働。
しかし、天国を永遠に夢に見ることができるのだからよしとしよう。


シンジは天国の夢を見ながら時間軸を滑り続けるだろう。
睡眠は未来へのタイムスリップなんだ。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

Good night

嫌なこと嫌って言えない
やりたいこともできない
自分を偽っている
正直でありたいのに

問題はあの子に好きと伝えられないこと
恥ずかしいなんて誤魔化し
怖くて怖くてたまらないんだ

答えは僕らの向こう
灰色の雲の向こう
死ぬまでたどり着けないなら
一生たどり着けないよ

「おやすみ」って言ったのに
眠れないから起きてる
「おはよう」って言うんだろう
寝てもいないのに言うんだろう

幸せは僕らの向こう
灰色の雲の向こう
死ぬまでたどり着けないなら
一生たどり着けないよ

Good night, Good night, Good night
See you tomorrow
Good night, Good night, Good night
See you tomorrow

答えは僕らの向こう
灰色の雲の向こう
「おやすみ」って言うんだろう
眠れないのに言うんだろう

Good night, Good night,
Good night…

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

何でも思い通りになる男

何でも思い通りになる男がいた。

「よし、小説家になるぞ!」

(、、、でもそんな実力ないし、
 やっぱり無理かな、、、)

男は思い通り、小説家になれなかった。。


人間は誰でも思い通りにできるのに、
いつも失敗することばかり考えてしまう。。

テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

かっぱ

私はカサが嫌いだ。片手が不自由になるから。
だから私はいつもかっぱを着ている。

かっぱはいい。両手を広げて走り回っても濡れない。
カサを差してチマチマ歩いている人の間を走り回るのは気持ちいい。
そのとき私は自由を感じる。

気がつくと私はカッパになっていた。
肌は緑色になり、頭はつるつるになっていた。

私はもはやかっぱを着なくてもよくなった。
雨の中を裸で走り回れた。
私は本当の自由を感じた。

雨の日だけは。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

世界制服

インターネットによって世界中のあらゆる情報が手に入るようになった。
インターネットによって情報は一瞬にして世界中に広まるようになった。

世界ランキングが作られ、世界中の人々がランキング上位のものを買うようになった。
今や世界流行の時代である。

人々はいつしかランキング1位のものしか買わなくなった。
2位以下の売り上げは0だった。

そのときファッションランキング1位だった「制服」を世界中の人々が着ている。

まさに世界制服。

そしてそれは「制服」による世界征服だった。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

タイムサーフィン

近頃「タイムサーフィン」が人気を呼んでいる。

タイムBOXに入ると、サーフィンを模したマシンがある。時間を入力しスイッチを押すと、あらゆる過去へ行ける。
その場所の過去が光映像としてタイムBOXの壁面に再現される。あまりにリアルな映像なので、本当に過去に来ているような気分になる。

恐竜時代や、地球が誕生した直後、などが人気だそうだ。広島にあるタイムBOXも人気で、最初は遊び半分だったが、原爆が落ちた瞬間を体験して本気で戦争を反対するようになったという人がたくさんいるそうだ。

さて、タイムサーフィンの再現映像は考古学的なものではない。考古学というのは小説を書くようなものだが、タイムサーフィンの歴史再現は物理学的なものだ。

アイルビン・シュレーデンの研究によって過去の物理的再現は可能になった。
シュレーデンによると、「量子情報は空間に記録される」という。空間には、「光の残像」とでもいうような、過去のあらゆる量子情報が保存されている。
それを解析することによって、過去のあらゆる時点を完全に再現できるのだ。
この研究によってタイムサーフィンは可能となった。

シュレーデンは世界各地のあらゆる過去をデータベース化して、同じタイムBOXで世界のどこでもいつでもをサーフィンできるようにしたい、と語っている。そのためには量子コンピュータの処理能力を超えるコンピュータが必要で、現在は「多次元コンピュータ」を研究しているという。

また別の研究グループは、空間には未来の量子情報の「予兆」が表れるはずだ、という仮説のもとに研究を進めており、「タイムサーフィンで未来へ行けるようにしたい」としている。

今後もますます「タイムサーフィン」から目が離せない!

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

ナンシー

画家は絵を描いている。
一人黙々と絵を描いている。

人生のすべてを絵を描くことに費やしてきた画家を理解するものは誰もいなかった。
たった一人、妹のナンシーだけは画家を理解してくれていた。
しかし、そのナンシーは死んでしまった。
もはや画家は一人っきりだった。

今、画家は妹の絵を描いている。
妹の死体をみつめながら。
死んだ体から生きた表情を描き出そうとしていた。

画家はかれこれ30年もの時間をかけてナンシーの絵を描き続けていた。
ナンシーの死体はすでに朽ち果てていた。
しかし画家は骸骨から生きた妹を描き出そうとしていた。

最愛の妹の変わり果てた姿をみつめ続けるという作業は、とても残酷で、30年という時間はまるで永遠のようだった。
それは地獄のようかもしれない。
しかし画家にとっては、妹のことを忘れてしまうことの方が地獄だった。
妹の絵を描き続けている限り、妹の思い出に浸っていられる。
妹と一緒に生きていられる。

ナンシーが死んでから30年、画家は死体から生きた妹を描き出そうとしていた。
そしてついに、
「ナンシー」の絵は完成した。

画家は涙した。それは最愛の妹との再会だった。
画家はキャンバスに向かって語りかけた。
「ナンシー、、」

すると、
絵のナンシーの目がぱっちりと開かれ、叫んだ。
「兄さん!」

画家が精魂かけて描いた絵には、本当に魂が宿ったのだ。
画家は本当に死体から生きた妹を描き出したのだ。

あぁ、、しかしなんと哀れな、、
老衰した画家の弱々しい心臓は、その驚きのために止まってしまった。

「兄さん!兄さん!」

かわいそうなナンシー。
大好きな兄の死体をただただみつめるしかない。
目を逸らすこともできない。
毎日毎日、同じ姿勢、同じ目線で、、
永遠に、、、

「兄さんのばかぁ~」。。

そんな妹を画家は天国からただただみつめるしかなかった。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

2秒の遅れ

インターネットは無駄な時間の塊である。トラフィックが混み合うと、ページの移動に時間がかかる。その間1秒か2秒。しかしそれを積み重ねれば数分、数十分にもなろう。

それだけではない。2秒の遅れは思考を遅らせる。次の動作までの時間にまで影響を与えるのだ。2秒の遅れが、さらなる2秒の思考の遅れを引き起こす。4秒の遅れ。

さらに、その遅れが長期的な思考の遅れをも引き起こす。遅延する時間が基本的な思考速度を遅らせるのだ。4秒の遅れは、その積み重ねは、永遠の思考の遅れを引き起こす。

インターネットは、その無駄な時間の塊、時間の遅れ、その積み重ねは、思考の停止を引き起こす。

--
ご覧のように、
遅いインターネットは思考の停止を引き起こします。

光ファイバーに切り替えましょう。。

宣伝です。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

魂の墓

「死」にはふたつの種類がある。

ひとつは肉体の死。もうひとつは魂の死。

一般にいわれるのは肉体の死である。
肉体は簡単に死んでしまう。銃で撃ち抜かれただけで死んでしまう。

魂もまた簡単に死んでしまう。
言葉は「言霊」といって、魂を癒しもするし、傷つけもする。
言葉の銃弾が魂を貫いたら、魂は簡単に死んでしまう。
肉体は生きているのに魂は死んでしまっている人間はたくさんいる。

これを読んでいるあなたの魂はまだ生きているだろうか。

人間は太古の昔から、死者を敬うために墓を作ってきた。
エジプトの王の墓、ピラミッドは有名である。
日本にも古墳という立派な墓がある。
有能な権力者でなくとも墓は作られてきた。人間は死んだら誰でも墓に入れられる。
正式な墓でなくともいい。穴に埋めてなにかしらの装飾を施せば、それで立派な墓になる。
肉体のための墓は世界各地にいたるところにある。

しかし、魂の墓は存在しない。
魂の死についてはあまり語られてこなかったからだ。
肉体の死は敬い、魂の死を敬わないといのはどういうことか。

立派な人間の魂は死なない。
肉体は死を免れないが、魂は永続することができる。
「人はいつ死ぬ と思う?・・・それは、人に忘れられたときだ。」というドクターヒルルクの有名な言葉があるが、この死こそ魂の死である。
裏を返せば、人に忘れられない限り魂は生き続けるのである。

黒澤明の魂も松田優作の魂も尾崎豊の魂も、今もずっと生き続けているのである。

魂が死んでしまう人間というのはだから、それほど価値のない魂ということである。
敬うに値しないのである。
ましてや、肉体は生きているのに魂は死んでしまっているような人間なんて、、
だから魂の墓というものは存在しない。

あなたの魂は永続できるだろうか?
私の魂は永続できるだろうか??

魂の墓は存在しないと書いたが、実は存在する。
世界にたったひとつだけ。
インドのナンジャーラという地に魂の墓は存在する。

その昔。敬虔なる仏教徒のひとり、スイクンは魂の死について考えた。
肉体の死以上に、魂の死は悲しいものである。
孤独の魂は行くべき場所もなくただたださまようばかりである。
悲痛の魂を癒す場所が必要だ、と考えた。

ナンジャーラは秘境中の秘境である。心無い人間に荒らされないために秘境を選んだのだ。
スイクンは岩山に囲まれたその地のちょうど真ん中に、仏を彫刻した。
仏の彫刻は三日三晩続いた。
食事も睡眠もとらずに彫刻し続けたスイクンは、仏が完成したとき疲労の極みに達していた。
その場で眠りに尽きたいと肉体は欲していた。
しかしスイクンは立ち上がり、一刻も早くナンジャーラを立ち去ろうとした。
ナンジャーラは魂の墓だから、肉体の死がそこにあってはならない。そう考えたのだ。

岩山を越え、険しい道を越え、ナンジャーラを離れたスイクンはその刹那に倒れ、永遠の眠りについた。肉体はそのとき死んだ。
いや、肉体はとっくに死んでいたのかもしれない。死んだ肉体を魂だけが必死に運び出したのかもしれない。
スイクンの魂は、スイクンの魂は誰の心にも残っていなかった。
スイクンは孤独だったのだ。
だからこそ魂の墓を作ろうとしたのである。

スイクンの魂は誰よりも早くナンジャーラに着いた。
そして、スイクン自身が彫刻した仏に宿ったのである。
ナンジャーラを守る魂として。
悲痛の魂を癒す魂として。

世界にたったひとつだけ存在する魂の墓、ナンジャーラ。
世界中の孤独の魂がナンジャーラに集まる。
秘境中の秘境であるが、孤独の魂は不思議とナンジャーラを見つけ出す。
そこにはスイクン仏の魂の癒しがある。
孤独の魂は孤独ではあるが孤独ではなくなるのである。

私が死んだとき、私の魂はどこにいくのだろうか。
あなたの心に残るだろうか。
それともナンジャーラに向かうのだろうか。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

3本の矢

1本目の矢は右手を射抜いた。
2本目の矢は左手を射抜いた。

そして3本目の矢は心を射抜いた。

彼はこの「処刑」のあと「復活」を遂げたが、
心は失われてしまっていた。

もはや奇跡を起こすことはできなかった。

神の子ではなく、人の子だった。

さて、3本目の矢は頭と胸のどちらを射抜いたのか。
心は脳と心臓どちらにあるのか。

残念ながら文献には「心を射抜いた」とあるだけで
どこを射抜いたかは記述されていない。

古い画家はこのエピソードを一様に、胸を射抜かれた絵や胸に向かって飛んでゆく矢の絵として描いている。
近年の画家はそれとは違い、脳を貫く矢の絵を描いている。

昔の人間の心は心臓にあって、今の人間の心は脳にあるのか?
人間の進化とともに心は心臓から脳へとその住み処を移したのか?

昔地球は平らだったが、今は丸いというように?

3本目の矢は今私の心を狙っている。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

Dying Message

友達を正直者で固めてきたのは
裏切られて取り返しつかなくなるのが怖かったから
だけどそんな私は何も信じることができなくて
そんな人生ならば今すぐ終わらせましょう

楽しいことなんて何ひとつなかった
偽りの笑顔はただ疲れるだけ

手首を切るカミソリは百円で買ったから
人間の価値なんてその程度のものなんでしょう
だけど命までは容易く奪えなくて
後先残ってく傷だけが増えてゆく

死のうとした数
生きるのを恨んだ数

自殺なんて馬鹿なことどうしてしようとするのか
不思議そうに怒ってみんなは聞いてくるけど
どうして生きようとするのかがわからない
答えの出ない問題なんて捨ててしまいましょう

悲しいことなんて何ひとつなかった
流れる涙に理由はなくて

手首に刻まれた醜い線の傷は
正しさと愚かさを主張して泣いているよ
矛盾した思いが正常じゃないというなら
感情なんてものは最初からなければよかった

死のうとした数
生きるのを恨んだ数

死のうとすることはあまりにも簡単で
死ぬことはとても難しいと思います

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

サカナ

幻覚を泳ぐ、、、私はサカナ、、、
形のない、、、それでいて唯一無二の存在、、、

ふわふわと異空間をさまよう形のないもの
そんな私を決定付けるものはなんだろう?

「サカナ」、、、いつか誰かがそう名づけた
それ以来私は「サカナ」のつもりになった

名前とともに、魚状の形態を手に入れたつもりになった
メダカ、サンマ、サケ、サメ、、、具体的な形ではないが
確かに魚状の形態、、、
幻想面に浮かぶ揺れる泳影、、、

だけど本当は形などない、、、
幻想のなかの幻、、、

自我の目覚め、、、
自己の存在について考え悩む

私はいったい何者なのだろう、、、?

ただ泳いでいたときはそんなこと考えなかった
「サカナ」という名前をもったとたんに狂いだした

私を混乱の渦へと導いた存在、、、
私に「サカナ」と名づけた存在とは何か、、、

幻覚のなかの幻に名前を与える存在
その存在を「神」と名づけてよいものか、、、

いや、、「神」と名づけた瞬間に私のほうが「神」になってしまう、、、

幻覚を泳ぐ、、、私はサカナ、、、
形のない、、、それでいて唯一無二の存在。。。

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

活毛剤

男性にとっての最大の悩みは「抜け毛」である。私はまだ20代だが、起きたときの枕元や髪を洗ったあとの排水溝の抜け毛を見ると、心底不安になる。抜けてからでは遅いのだ!そんなわけで私は育毛剤のコーナーをのぞいてみた。

育毛剤、発毛剤が並ぶ中に、「活毛剤」というものがあった。「髪の毛に活力を!~生き生きとした黒い髪に」と宣伝文句が書いてあった。今ある髪を強くして抜けにくくする。抜け毛がまだ始まっていない私にはぴったりだと思い買ってみた。

その日、髪を洗ったあと早速「活毛剤」を使ってみた。額から頭頂部にかけてマッサージをするようにすり込んでゆく。なんだか頭がスースーして気持ちいい感じ。血行がよくなっているのがわかるようだ。鏡で見ると、髪が本当に生き生きして見える!
、、、そんなに早く効くわけがない。気のせいだ。寝よう。

その真夜中、私はふと目が覚めた。頭がかゆい。あまりのかゆさに頭を思いっきりかいた。
すると、、、
大量の髪の毛の束が「とれた」。私はおどろいてしまった。髪の毛がとれるなんて!
電気をつけた。髪の毛の束が確かにそこにあった。しかしよく見ると、とれた髪の毛がうじゃうじゃ動いているではないか!まるで釣りえさ用の小さな箱に入った大量のミミズのような。
頭でも髪の毛がうじゃうじゃ動いているのを感じて、気持ち悪くなって振り落とした。落ちた髪の毛はやはりうじゃうじゃ動いた。
鏡を見ると私の頭はつるつる坊主だった。愕然とした。まだ21なのに、、

それでも私は考えた。一体なぜ?まあ活毛剤が原因だろう。髪を生き生きさせる活毛剤。「生き生き」させる?あの活毛剤が髪の毛に生命を与えたのか!?

そんな馬鹿なと思いながら見てみると、やはり髪の毛はうじゃうじゃ動いている。
そんなことよりも私はつるつる坊主になってしまった。スキンヘッドでは就活もできない。ああどうしよう、、
すると髪の毛はマスゲームのように一斉に動き出した。そして文字を作り出した。
「ぼくたちにまかせて」??
すると今度は髪の毛が一斉に私の足から這い上がってきた。私は気持ち悪くて髪の毛を振り落とした。
するとまた一斉に動いて文字を作り出した。
「ぼくたちをしんじて」??
するとまた這い上がってきた。私は今度は我慢した。
髪の毛は頭の上に集まり元に戻った。鏡を見てみるとちゃんと元通り、つるつる坊主じゃない。かゆみもなかった。な~んだ、ちゃんと元に戻るんだ。
すると前髪が落ちて、文字を作った。
「すきなかみがたに」??
そんなこともできるのか。私は「じゃあモヒカンにして」と頼んだ。
すると頭の上の髪の毛が動き出した。鏡を見ると髪の毛はみるみるモヒカンになっていった。すごい!

「活毛剤」。髪の毛に生命を与える。しかもその髪の毛は人間の言うことを理解し思い通りに動いてくれる。これはすごいことだ。
次の日、私は雑誌を買ってきて木村拓哉や坂口憲二などの髪型をいろいろ試してみた。意外と長髪も似合うということがわかった。
最初は気持ち悪いと思ったが、とても便利である。

活毛剤を使って以来私は床屋に行っていない。行く必要などない。私は毎日自由にヘアスタイルを変えられる。ファッションにも興味を持つようになった。人に見られるのが楽しみになった。毎日が生き生きとしている。

活毛剤は髪の毛だけでなく、その人の生活をも生き生きとさせてくれる。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

心の探求

私に「心」があるのは疑い得ない。確かに私はそれを感じているのだから。他の人にも同じように心はあるのだろうか。これは確かめようがない。他人の心はわからない。そう見えているだけで実は心のないロボットなのかもしれない。
私に心があるのは確かで、他人に心があるかはわからない。普通はそう考えるのかもしれない。しかし。

私は自分には心がないのではないかと思う。他の人たちはお互い自由にコミュニケーションをとり、「心を通わせる」。私にはそれができない。話しかけられてもうまく返せない。コミュニケーションがとれないのだ。だからいつも孤立してしまう。それは私に心がないからではないだろうか。
他人には心があり、私にはない。では心とは何なのか?そんなわけで私は「心」に興味を持った。

心に関するさまざまな文献を読み、どうやら心は脳にあるらしい、神経細胞の相互作用によって心がつくられるらしい、ということがわかった。
ということは、心のない私の頭は空っぽなのかもしれない。あるいは神経細胞がバラバラなのではないか、と考えた。
そして、確かめようと思った。

それは私にとってはじめての外科手術だった。
ライターで加熱殺菌したカッターで頭皮を額からその反対側にかけて縦に切り開いていく。麻酔がなかったのでひどく痛かった。あまりの痛さに叫び声を上げ、カッターを取り落としそうになった。痛さで手元が狂ってしまっては致命傷になりかねない。そう思った私は手術に集中した。集中のおかげか、痛みはさほど感じなくなっていった。
頭皮を切り開くと頭蓋骨が現れた。頭蓋骨は糸のこで横に切っていく。脳を傷つけないように(そもそもあればの話だが)慎重に削っていった。頭蓋骨は硬くてとても時間がかかった。
やっとのことで頭蓋骨を切断した。そして運命のときである。私に脳はあるのか?
ゆっくりと頭蓋骨を持ち上げる。手が震えた。なんとちゃんとそこには脳があった。私にも脳はあったのだ。神経細胞もバラバラではない。文献にあったような脳そのままだった。
私にも心はあるんだ!なんだかうれしくなった。鏡に映った私は「サイバイマン」みたいで可笑しかった。

私は脳を触ってみた。脳は想像以上にやわらかかった。水風船のようでとても脆そうだった。何かの文献にあった「ホムンクルス」はいないようだった。もしかしたら脳の内部にいるかもしれないとも思ったが、脳を切り開くという大手術は私には手に負えないようだったので確かめようとはしなかった。
しかし、この脳のどこに心があるのだろう。今こうして考えていることも、この脳が生み出しているのだ。いろんな思考や感覚は電気信号となって神経間を伝わる。私は脳のいたるところで光の点が発火してはものすごい速さで動き回るというような想像をしていた。が、光の点はまったく見えなかった。脳で何が起こっているのかまったくわからなかった。脳はまったく不思議な装置だった。

私は頭蓋骨を慎重に戻した。1日もすれば骨はくっつくだろう。そして頭皮を縫い合わせていった。自分の頭を縫うというのは、見ることができないので感覚を頼りに縫うしかなかった。ただでさえ私は裁縫が苦手なのに、作業は困難を極めたので、できはひどかった。しかも赤い糸しかなかったのでとても目立った。縫い跡をみるとフランケンシュタインのような気分になった。
私のはじめての外科手術はとりあえず無事に終わった。私にもちゃんと脳があるということがわかった。
しかし脳の仕組みはわからなかった。私にも心があるという確証にはならなかった。もしかすると私の脳は形ばかりで、心を生み出していないのではないかと思えてきた。

なぜ私には心がないのだろう。私の心の探求は続く。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

うんち

便秘のあと一番のうんちは、量が多いので苦しいものである。

その日私はトイレで格闘していた。今日こそ出ろ、今日こそ出ろ、と踏ん張っていると、うんちの頭が出てきた。
ここぞとばかりに力む。肛門がちぎれそうなくらい太いうんちだった。さらに力む。硬くて途中で切れなかった。「ヒーヒーフー」とラマーズ法をやってみた。するとさっきよりも楽にうんちが出るようになった。「ヒーヒーフー」とやるうちにどんどん出てきた。とても長かった。
うんちが最後まで出たところで、どんなものかと見てみた。

すると、、、

なんと!そこには体長1メートルくらいのヘビがいた。巻き巻きうんちみたいにとぐろを巻いていた。錯覚かと思って何度もよく見てみたが、やはりヘビだった。

一体なぜ?私は考えた。そういえばこの前、精力をつけるために生卵を飲んだ。もしかするとそれはヘビの卵で、飲み込んだ卵はどういうわけか消化されず、お腹の中で孵り、腸の中で成長して、出てきたのではないか。
つまり便秘の原因はこのヘビだったのではないか!!

便秘のことで私は怒ったが、ヘビはまだまだ幼いようで、悲しい目でみつめてきた。私は怒れなくなって、ヘビの頭をなでてやった。するととてもうれしそうな顔をして、なんだか私になついているようだった。私もなんだか愛着が湧いてきた。

私はこのトイレで生まれたヘビをペットとして飼うことにした。名前は「うんち」である。うんちは成長が早く、1週間で2メートルにもなった。でもそれ以上は成長しなくてホッとした。私がリコーダを吹くとダンスを踊るようになった。うんちは私のかわいいペットだった。

1ヶ月経ったある日、家に帰ってくるとうんちが静かに横たわっていた。寝ているのかと思って近づいてみると、まったく呼吸をしていなかった。抜け殻かと思ったが、違った。うんちは死んでいた。

私は泣いた。悲しみに暮れた。いつもリコーダで吹いていたラルクの「Pieces」とともに、うんちとの思い出がよみがえってきた。
はじめてうんちと出会った日、私は怒ってしまってうんちを悲しませてしまった。でもすぐにかわいらしい笑顔を見せてくれた。私のリコーダに合わせて踊りを見せてくれた。首に巻きついてネクタイになったこともあったね。あれで一度首が絞まって死にそうになったっけ、、、
あぁ、、うんち、、、なんで死んでしまったんだ、、、。

その時私はうんちしたくなった。こんな時に便意をもよおすなんて、と思いながらもトイレへ行った。実は最近また便秘だったのだ。
なんだか最初の日のことを思い出してきて泣けてきた。この日のうんちも肛門がちぎれそうなくらい太いうんちだった。泣きながらまたラマーズ法をした。「ヒーヒーフー」、少しずつうんちが出てきた。
最後まで出し切ったとき、もしかしたらうんちの生まれ変わりかもしれないと思って見てみた。

すると、、

なんと!またしてもヘビがいた!これは幻かと思いよくよく見てみたが、やはり本物のヘビだった。

一体なぜ?私は考えた。あの日以来生卵を飲むのは控えていた。まさかスクランブルエッグからヘビが孵るわけはない。私は考えた。もしかするとうんちは肛門から出てくる前に私の中に卵を産んでいたのではないか。そしてそれが孵って今出てきたのではないか。
これはうんちからのプレゼントだ!!

私はうれしくなって「生まれた」ばかりのヘビを抱きしめた。この新しいヘビも私になついているようだった。

私はこの新しいヘビに「うんちうんち」という名前をつけた。うんちうんちもまた1週間で2メートルになった。そしてリコーダで踊るようになった。やはりうんちうんちは私のかわいいペットだった。

しかし、、

1ヶ月経ったある日、家に帰ってくるとうんちうんちが静かに横たわっていた。またなのか。うんちうんちは死んでいた。

私はまた同じように悲しんだ。ラルクの「Pieces」、うんちうんちとの思い出、1リットルの涙が流れた。
なんで、、死んでしまったんだ、、、

そしてまた便意をもよおした、、、


ラマーズ法はもう慣れたものだった。新しいヘビは「うんちうんちうんち」と名づけた。やはりリコーダで踊るようになった。そして1ヵ月後には死んだ。そしてまた便意をもよおした。それ以降は「うんち4」「うんち5」というような名前にするようにした。

そんなわけで私は1ヶ月に1回「出産」をしている。今はもう出産のエキスパートみたいなものだ。
しかし出産はうれしいが、死別はとても悲しい。子どものほうが先に死ぬなんてあんまりじゃないか!子どもが死んでいくのを黙って見守るしかない母親の気持ち。そんな悪夢を何度も何度も見なくてはならない。私の気持ちは誰にもわからないだろう。


このどこまでも続く出産と死別のサイクルは、神が私に与えた試練なのかもしれない。
そしてこの試練を乗り越えたとき、私の中に「本当の何か」が生まれるのかもしれない。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

E-JAPAN計画

「e-Japan計画」というものを知ってるか?情報社会に対応して、情報通信ネットワークの形成や人材育成などを推進する国家的な計画だ。ここで「e」は「electronic」だ。しかしその裏では「E-JAPAN計画」が行われているんだ。この「E」は「English」だ。つまり「日本英語化計画」だ。

東京を歩いてみろ。背と鼻の高い肌の白人、体格のいい黒人、日本人かと思ったらわけのわからない言葉を話す中国人韓国人、ここが本当に日本かどうかわからなくなる。
身の回りには英語が溢れている。カタカナの外来語じゃないぞ、まったくの英語だ。報道司会者は「インセンティブ」だ「イニシアティブ」だと言うし、「ライブドア」の「CEO」が「M&A」じゃ意味が分からん。そもそも報道司会者なんて誰も言わん、「ニュースキャスター」だ!
音楽なんてもっとひどい。バンド名もタイトルも英語、しまいには歌詞も英語ときた。あいつらはアメリカの犬じゃないかと思うぞ。
教育界は何を血迷ったか、小学校で英語を教えはじめた!日本人の国語力の低下は加速する一方だ。このままじゃ「英語が国語になるかもしれませんね」がジョークではなくなってしまうぞ!
実際多国籍企業や外資系企業では英語を話せなければならなくなってきている。企業が海外に出て行き、日本の企業が外資に食われていく、グローバル化で外国人がどんどん入ってくる、そのうち誰もが英語を話さなければならなくなるだろう。
いずれは英語が公用語となって、英語を話せなければまともな職に就けなくなるようになるんだ。いいか、みんなが英語を話すんだぞ!

そもそも日本はアメリカの植民地なんだ。第二次世界大戦からずっとアメリカの支配は続いている。表向きは独立国だがな、これは新しい形の植民地化計画なんだ!
インドを見てみろ!インドの公用語はヒンドゥー語とされているが、事実上は英語が公用語以上のものになっている。もともとインドはイギリスの植民地だったがな、日本も同じ運命になるんだ!

いいか、美しい日本語が消えてしまうんだぞ!最近の若者を見てみろ、なんだあの話し方は!美しい日本語はどこへ行った!おしとやかな日本女性はどこへ行ったんだ!!


日本を守るために鎖国しなければならない。誰でも考えつくことだ。
しかし、日本はもう鎖国なんかできやしない。

食物自給率を見てみろ。たった40%だぞ!オーストラリアは300%、アメリカは250%、この違いは何だ!狭い国土に人間があまりにも多すぎるのか?いや、土地利用が間違っているんだ。農地ではなく工場を作ったんだ。これもアメリカの影響だぞ。いくら一生懸命自動車を作っても車なんか食えないんだ!おかげで高度経済成長の末、豊かな国にはなったが、日本は食糧を輸入しなければ食っていけなくなったんだ!生きるためには他国に依存しなければならない。もう二度と鎖国なんかできやしない!

思い切ってアメリカと戦争でもしてみるか?日本は憲法のせいで戦争できないがな、いざとなれば憲法なんかくそくらえだ!日本の軍事力はそれでも世界第2位なんだからな。
だがな、日本の主な戦力はみんなアメリカ製だ。イージス艦もF15戦闘機もみんなアメリカ製なんだ!日本の戦力なんて全部筒抜けだ。そしてコンピュータ制御だからな、ジャンクプログラムを発動させられたら日本の戦力はゼロだ。

新しい戦力を作ればいいか?日本は借金まみれだ。そんな大金はどこにもない。
国の一大事なら金持ち連中が金を出してくれるか?だが日本人にはもう愛国心なんかない。企業のトップはみんなアメリカ崇拝だからな。金さえ儲かればいいと思ってるんだ。日本なんてどうなってもいいんだ。あいつらはアメリカの犬なんだ!

第一、日本のトップがアメリカ崇拝なんだからな。アメリカと仲良くやっていきましょうだ。もうあきらめるしかない。日本はアメリカの植民地だ。そして英語を話すしかなくなるんだ。


宇宙人が地球に戦争を仕掛けてきたら、それまで争っていた国々が一つにまとまって、「地球連合」が誕生するなどとSFではよくいう。
しかしもしそれが現実になったら、地球国家の名称は「地球連合」なんて立派なものではなく、「United States of America」だ。日本もフランスもドイツも中国もみんなアメリカの一部になるんだ。
イギリスなんてどうだ。はじめはアメリカを植民地にしてたのに、独立されて、今度は逆に植民地にされる。

世界情勢を見てみろ。情報化社会というが、そのせいでマイクロソフトが大儲けでアメリカを強大化させているだけじゃないか。環境問題だって、アメリカは京都議定書にサインしなかった。世界各国がCO2削減に大金を使っているのにアメリカは知らん顔だ。これもアメリカを助長させている。そしてこれは日本がアメリカの犬だという証拠じゃないか!
グローバル化国際化というのも、それはみんな英語化アメリカ化なんだ。世界中で英語が話されてる。

アメリカの力ばかりが強大化して、どの国もアメリカの言いなりだ。イラク攻撃だって誰も止められなかった。
このままじゃ本当に日本がなくなるぞ。いや、世界がなくなるんだ!

今必要なのは「RE:JAPAN計画」なんだ!日本回帰だ!日本を取り戻せ!

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

孫悟空

悟空はなにやら怒っていた。
「てめぇ~三蔵~、俺をだましたな!」
「なんの話だ?サル」
「UFOなんてどこにもいねぇじゃねぇか!しかもその隙に俺のまんじゅう食っただろう!」
「ふん!騙される方が悪いんだよ、この馬鹿ザルが!」
「このヤロー!食べ物の恨みは重いんだからな!!」
悟空は如意棒を振りかぶり三蔵に襲い掛かった。
「お座り!!」三蔵は声高に叫んだ。
すると悟空は座り、「あぁ、三蔵、ちょっとカッとなってごめん。どうかしてたよ、まんじゅうくらいでさ。はは、気にしないでよ」と、さっきまでの勢いはどこかへ消えてしまった。
八戒が尋ねた。
「三蔵、どうやったんです?」
「悟空の頭に輪っかがあるだろう。あれは『緊箍児(きんこじ)』といってな、菩薩から譲り受けたものだ。俺が『お座り』と言うと俺の声に反応して電気パルスを出すようになっている。電気パルスは「お座り」の運動領域を刺激して、強制的にお座りをさせる。それと同時にセロトニン神経系を刺激して脳内にセロトニンを分泌させる。セロトニンは神経の興奮を抑制し、精神を落ち着かせる作用がある。それで、、」
「あー、だから悟空はあんなにおとなしくなったんですね」
悟浄が入ってくる。
「なんだかわかんねぇけど、すごいんだな、あの輪っか」
「まぁな。もともと釈迦が長年かけて開発した代物で、音声認識といい、電波による神経制御といい、まさに最先端技術だ」
「なぁ三蔵~ハラ減ったよ~」
「黙れクソザル!とっとと西を目指すぞ!」

三蔵一行はひたすら西を目指していった。
科学的な最先端医療を広めるために、西洋へ。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

ホコリ

一人暮らしをしていると、部屋がどんどん汚くなっていく。はじめのうちはまめに掃除をしていたのだが、だんだん掃除がめんどくさくなって、ときに部屋はホコリまみれになっている。

しばらく掃除をしていなかったので部屋にはホコリが溜まっていた。床を指でなぞるとホコリの束が出現した。なんだかおもしろくなって部屋中のホコリを集めたくなった。
指で軽くなぞるだけでおもしろいようにホコリが集まる。蛍光灯の傘に積もったホコリは特にすごかった。初雪くらい積もっていて、集まったホコリはそれまで集めていたホコリを超えるくらいの量だった。
最終的に集まったホコリは野球ボールサイズのスチールウールの塊みたいだった。なんだか捨てるのがもったいないので、そばにあったプリングルスのカップの中に入れておいた。

夜中に目が覚めた。カタカタ音がする。プリングルスのカップからだった。おそるおそるふたを開けてみると、なんとホコリの塊が動いていた!何事だと思い、驚きながらも私は考えた、、、
ホコリは繊維である、、繊維は植物などの生物からつくられる、、ホコリは生きている!ホコリはニューロンのようなもので、ホコリ一本では何にもならないが、ホコリが集まれば神経ネットワークのようなものが形作られて、意識のようなものが生まれるのではないか!ホコリの束には生命が生まれるのではないか!!

ホコリの塊は壁をわさわさと登っていき天井と壁の角を移動していた。その様子はなんだか「まっくろクロスケ」のようでかわいらしかった。ホコリなんて汚らしいとはじめは思ったが、そのチャーミングな動きに次第に愛着が湧いてきた。

私はこのホコリの生き物をペットとして飼うことにした。名前は「プリングルス」である。
プリングルスは日に日に大きくなっていった。ホコリを食べて成長するようである。プリングルスは部屋中のホコリを食べてくれる。棚の上やタンスの陰など手の届かないところのホコリまで食べてくれる。おかげで私の部屋は掃除いらずでとてもきれいである。

プリングルスが成長するにつれて、プリングルスのカップには入らなくなり、バケツに入れたりしたのだが、今ではもう放し飼いである。小型犬くらいの大きさである。馬とか象くらいの大きさになったらどうしようかと思うのだが、名前はずっと「プリングルス」である。

身体が大きくなるにつれて知能も高くなっていくようだった。プリングルスは繊維の束だから脳みたいなものである。プリングルスにとって身体が大きくなるというのは脳が大きくなるようなものである。小型犬くらいといっても、脳としてみるならもう私以上である。これが象くらいになったらと思うと末恐ろしい。
しかしプリングルスは私が横になると枕になってくれたり、とても優しい。もっと大きくなったらふとんになってくれるかもしれない。
プリングルスは私のかわいいペットなのである。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

地球外生命体

その日私は地球外生命体だった。

確かに私は地球上にいたのだが、どこか地球上に存在していないような、別次元にいるような、奇妙な感じがした。

街を歩いていたのだが、すれ違う人は私には気付いていないようだった。
恐ろしく近くを通り過ぎて行った。肩と肩がぶつかるかと思ったが、まるで透り抜けたようだった。
私はそばにいた女性に声をかけたが、私の声が聞こえていないようだった。少し下品なことを言ってみると女性は嫌そうな顔をしたが、声が聞こえたようではなく何か嫌な感じがしたという風だった。

私は叫んだ。
「ここはどこですか!私は誰ですか!」
何も聞こえていないかのように人波は過ぎてゆく、、
私はスクランブル交差点の真ん中で立ち尽くした。
車は私なんかいないかのように走り過ぎて行った。

私は地球上に存在していないのではないか、どこか別の次元にいるのではないか、地球の外にいるのではないか、そう思った。

その日私は地球外生命体だった。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

ピッコロ

その日、夢の中で私はピッコロだった。
ベジータと戦っているところだった。

私はエネルギー波を出そうとした。
が、出し方がわからなかった。

手のひらをパーにして腕を力強く突き出してみたが、
何も出なかった。

腕を引いて「はぁぁぁ~」と言いながら手のひらに力を集中しエネルギーを溜めるようにしてから思いっきり腕を突き出したが、
やはり何も出なかった。

ベジータはうっすら笑みを浮かべながら近づいてきた。
私は何もできなかった。

そして、
食われた。。

テーマ : 夢小説
ジャンル : 小説・文学

トーテムのっぽ鯨井先生

私が中学生の美術の先生は「トーテムのっぽ鯨井先生」だった。ジャスト2mという長身は私のようなチビには大きな脅威を与えていた。

最初の授業のとき、背中を折って教室に入ってきたのが印象的だった。ドアより高い人間がいるなんて!黒板の前の蛍光灯に頭が当たりそうなくらいの長身に、クラスの人気者浜田が「トーテムのっぽだ!」と言ったのがきっかけだった。
一番前の席にいた私はトーテムのっぽ鯨井先生を見上げるのに首が痛かった。そして礼のとき。「起立っ、きょうつけぇ、礼!」でトーテムのっぽ鯨井先生の頭が私の頭の上にガーンってなった。目から火が出たし、足が若干床にめり込んだみたいだった。トーテムのっぽ鯨井先生を見上げてて礼が遅れたのだ。
それ以来私は誰よりも早く礼をするようになった。「きょうつけぇ」の「ぇ~」が終わるか終わらないかぐらいには頭を下げていた。それで一回、私が礼から頭を上げたときにトーテムのっぽ鯨井先生の振り下ろされた礼に思いっきりぶつかったことがあって、そのときトーテムのっぽ鯨井先生があごを押さえてあえいでいるのを見て、仕返ししてやったぜと思った。でもそれ以来私は誰よりも長く礼をするようになった。

中学校で有名だった、私が誰よりも早くそして誰よりも長く礼をするというのはそれが原因だったのだ。。


トーテムのっぽ鯨井先生は中学の美術の先生で、ジャスト2mの長身は私のようなチビに大きな脅威を与えていた。特に私は最初の授業のときのアレがあったので心底怖がっていた。

授業で作品を作ってる間、トーテムのっぽ鯨井先生はみんなの作業を見て回るのだが、トーテムのっぽ鯨井先生がやってくると私は手が震えてしまった。極度の手の震えで、ねんどの「手」はぐにゃりと折れたし、写生の「カナ」の顔はぐしゃぐしゃになってしまったし、彫刻刀が指に刺さって血みどろになった。そんな私を見てトーテムのっぽ鯨井先生は奇妙な笑いを浮かべるのだ。なんだいその作品は、不器用だね、しょうがないチビだよ。
私はどうでもよくなってくる。ぐにゃりと折れたねんどは「地獄から助けを求める罪人の醜くつぶされた手」、ぐしゃぐしゃの絵は「最愛の人を思う狂った男の頭の中」、血みどろの版画は「記憶の奥に封印された紅の思い出」と名づけた。
トーテムのっぽ鯨井先生は「独創的ですばらしい発想だ」と言うが、その顔にはやはり奇妙な笑いが浮かんでいた。結局私の美術の成績は悪かった。

他の教科の成績がすべて5なのに美術だけが3だったのは、私の唯一の汚点である。しかしそれはしょうがないことだったのだ。。

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

さわやか少年先生

私が小学2年生のときの担任は「さわやか少年先生」と呼ばれていた。さわやか少年先生は新米教師で若くて、しかも童顔で身長も低かったから子どもみたいだった。休み時間に無邪気に生徒と遊んでいる姿はまさに「さわやか少年先生」だった。教えるのは決して上手とはいえなかったが、真面目で誠実で心に一点の曇りもない純白の先生だった。

ある日私は肝試しをしようと放課後ずっと学校に残っていた。生徒はみんな帰り、夕日で赤く染まった教室はし~んと静まり返っていた。すると誰かが歩いてくる足音が聞こえてきた。私はとっさに掃除用具ロッカーの中に隠れた。ガラガラッとドアを開けて入ってきたのはさわやか少年先生だった。私は息を潜めながらロッカーの隙間から様子を見ていた。さわやか少年先生は窓側後ろから2番目の席に座った。そして窓の外を静かに眺めていた。実は窓側後ろから2番目の席は私の席で、私もよく窓の外を眺めていた。それでなんとなく、さわやか少年先生と私とが重なって見えた。

どれだけ時間が経っただろうか。窓の外を眺める先生を眺める私、それは永遠のようだったが教室はずっと赤いままだった。さわやか少年先生がふと「あっ、流れ星だ」と言った。

私はいつの間にか眠ってしまっていた。教室はもう真っ暗だった。さわやか少年先生はいなくなっていた。

今思い出してみると、さわやか少年先生が「あっ、流れ星だ」と言った瞬間に夜になった気がする。そんなわけあるはずないけど、だとするとさわやか少年先生が入ってきたところからすでに夢だったのかもしれない。あの日の出来事すべてが夢だったのかもしれない。

それが気になって私は先日母校を訪ねた。「さわやか少年先生はいますか?」残念ながらさわやか少年先生の本名は覚えていない。先生たちもそれではわからないという風だった。それで先生全員に会って探してみたのだが、さわやか少年先生らしい先生はみつからなかった。いるのはみんな「疲れた大人先生」だった。。

あなたの学校に「さわやか少年先生」はいますか?

テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

緑の線路

砂漠になる前の荒地。どこまでも続く渇れた大地に私はいた。
綱引きの綱ほども太い茎が何本も絡み合ったものが一本の道のように続いていた。
その「緑の線路」に沿って私は歩いていた。

緑の線路の上を列車が走ってきた。植物で覆われた「緑の列車」。
これに乗れば目的の場所へ行けると思った。しかし近づいてくると列車の中で2匹の恐竜が暴れているのが見えた。
なんということだ、もうおしまいだ。ということはあいつらも殺られたのか。
緑の列車はもの凄い勢いで通り過ぎていった。


私の村は突然現れた2匹の恐竜によって壊滅させられたのだ。父も母もみんな殺されてしまった。私は命からがら逃げてきたのだ。隣町まで行ってこの危機を伝えようとしていたのだ。
私の仲間は列車で隣町まで行くはずだった。しかし・・・。
まずい、このままでは何も知らない町の人々はあの2匹の恐竜に殺されてしまう!
なんとかして列車より速く隣町まで行かなくては!なんとかして列車を止めなくては!

。。

テーマ : 夢小説
ジャンル : 小説・文学

ミミズ

私は学校の中を逃げていた。何から逃げているのかはわからないが、とてつもなく恐ろしいもの。私は階段を全飛ばしで下りていった。飛んで回って飛んで回って飛んで回って。一番下まで降りて走り出そうとしたとき、私の前に「それ」はいた。全身を黒い布で覆い、大きな鎌を構えた、「死神」。ハッとした瞬間、死神は鎌を振り抜いていた。私の首は簡単に持っていかれてしまった。
そのとき私は自分の身体の奇妙を見てしまった。私の首から伸びているのは、巨大なミミズのようなものだった。飛んでいく首に引っ張られて、私の身体からズルズルとミミズが出てくる様子が見えた。外から見たらそれは首がどんどん伸びていくようにも見えただろう。身体から切り離された私は今や、人間の頭を持ったミミズのようだった。

私は自分の存在をかき消されたような気になった。記憶喪失になったような。記憶はあるのだが、記憶と現実が完全にズレてしまったような感じ。私は人間だったかミミズだったか。今この思考をしている私は人間なのかミミズなのか。この脳は人間のもの?ミミズのもの?脳にミミズが寄生したのか、人間の脳とミミズの脳が溶け合ってひとつになってしまったものなのか。それともミミズが人間の身体を身に纏っていただけだったのか。ならば私はもともと人間ではなくミミズではないか。私という存在の記憶はまったくの嘘で、本当はミミズの私が真実なのだとしたら。私は私でないような、いやむしろ本当の私に出会ったような。今の私は私が誰なのかあいまいな私であった。

死神はこう言った。「私は『お前』を殺した。」と。

目を覚ました私は奇妙な気分だった。脳からミミズの体が伸びているような、首から身体へ伸びる脊椎がなんだかミミズのような感触がするような気がした。私は自分が人間の身体を着たミミズなのではないかという気になっていた。
何もやる気がしなかった。私は本当はミミズなのだとしたら、ミミズらしく生きることが自然なのではないか。もう人間みたいに振舞うのはやめよう、これからはミミズとして生きよう。そんな気になっていた。

死神が言ったように、昨日までの『私』は完全に殺されていた。。

テーマ : 夢小説
ジャンル : 小説・文学

余命宣告

深夜、ドアをノックする音に起こされた。時計を見ると0:00だった。こんな時間に誰だよ、と思いドアを開けると、頭から全身に黒い布を被った老人が立っていた。手には布にくるまれた長い棒のようなものを持っていた。
「余命宣告に来ました。」老人は言った。「あなたの命は今日までです。明日のこの時間に命をもらいに来ますので、それまで残りの命を大切にしてください。」
私は突然のことにショックを受けた。「どうして」と聞くより前に老人の姿は消えてしまっていた。老人が持っていたのはカマだったのだとそのとき気がついた。
あーどうしよう、今日一日どう過ごせばいいだろう。考えるうちに強烈な睡魔が襲ってきた。大事な時間を無駄にしたくないと思ったが、眠ってしまった。

ドアをノックする音に起こされた。私はハッとした。死神が命を奪いにきた、私は最後の一日をずっと眠って過ごしてしまった!と思った。時計を見ると22:00だった。死神ではないようだ。
ドアを開けるとカナがいた。カナは高校生の頃からずっと付き合っている彼女だ。最後の2時間カナと過ごせるならいいかもしれないと思った。
「ねぇ、どこか行こう」「あぁ」

私は自転車の後ろにカナを乗せて、深夜の人も車もいない道をひたすら走っていた。闇を切り裂く風が気持ちよかった。カナの笑い声が心地よかった。人生最高の瞬間だと思えた。これから死ぬなんてウソだと思った。死神が来たなんて悪夢だったに違いないと思った。時計を見ると23:59だった。死ぬ気がしなかった。今頃、死神老人は私の部屋をノックしながら、おかしいな、いないな、と困っているかもしれない。なんだか可笑しくなってきた。「最高だ!」と叫んだ。
そのとき、カナの力が急に抜けたような気がした。「カナ、カナ!」呼びかけても返事がない。「なんで?」涙が出てきた。私はカナを後ろに乗せたまま自転車を走らせた。行くべき場所がわかっているかのように。

どこかの畑に着いた。暗闇の中にトマトの赤が浮かび上がっていた。私はその熟れたトマトを手にした。ひとかじりすると、口づけをするように、カナの口の中にトマトを流し込んだ。そうすれは生き返るような気がしたので。
しかし、何の変化もなかった。どうすることもできなかった。
それでもカナは笑顔だった。
「助けてください・・・神様どうか助けてください!」私は夜の闇に叫んだ。

カナは私の身代わりになってくれたんだ。どうにかして私の余命とカナの余命を入れ替えたんだ。私はそんなことも知らずに・・・あぁ私にはどうすることもできない。

空には赤い三日月が死神のカマのように不気味に浮かんでいた。。

テーマ : 夢小説
ジャンル : 小説・文学

イルカの絵

私は高層ビルの54階にいた。壁に飾ってある1枚の絵を見ていた。太陽の光でアクアブルーに輝く海の中を3匹のイルカが気持ちよさそうに泳いでいる絵。今にも動き出しそうな生き生きとした絵だった。
窓の外を見た。3匹のイルカが泳いでいた。さっきの絵そのままに。本当に絵が動き出したのか?再び絵を見てみると、絵はなくなっていて、壁一面すべてが窓になっていた。ビルの周りをたくさんのイルカが泳いでいて、まるで海の中にいるようだった。イルカの群れは空に浮かぶ太陽に向かって泳いでいった。太陽は空にあるように見えたし、水面に映っているようにも見えた。
これは新しい水族館か?それとも日本は水没してしまったのだろうか?いや、イルカが進化して空を飛べるようになったのかもしれない。

確かなことがあった。私は外に出ることができないだろう。なぜかそんな気がした。
ビルの外が海だからかもしれないし、イルカがサメのように襲ってくるからかもしれない。空に浮かぶ太陽に吸い込まれて焼かれてしまうからかもしれない。
そんな思考の末にたどり着いたのは、イルカは私よりもはるかに自由だということだった。外に出られない私を尻目に、イルカは自由に気持ちよさそうに泳いでいる。泳ぐイルカを見て新しい水族館かと思ったのだが、これは逆に、ビルという水槽の中で私がイルカに飼われているのかもしれない。

大陸のほとんどが水没してしまった未来世界では、イルカが人間を飼って暮らしている。
アクアブルーに輝くきれいな海を優雅に泳ぐイルカの美しい絵を見ながら、私はそんな残酷なことを考えていた。
いや、人間ではなくイルカが支配する自由な世界、それは美しい世界なのかもしれない。。

>>「桃色のイルカ」

テーマ : 夢小説
ジャンル : 小説・文学

キチガイ病院

グオーン・・・グオーン・・・グオーン・・・
私はその音に目を覚ました。私は真白いベッドの上にいた。はて、ここはどこかしら、と思い考えてみて唖然とした。私は自分が誰かもわからなかった。記憶という記憶が全く飛んでいたのだ。あるのは、「グオーン・・・グオーン・・・」という音だけだった。
一瞬にして記憶喪失になってしまったのか。ふと気づいて窓の外を見た。青い海がどこまでも広がっていて、どういうわけか砂浜に、クジラが打ち上げられているみたように、飛行機が打ち上げられていた。私はいよいよ頭がおかしくなってしまったか。そう思うと同時にいろいろ思い出してきた。

部屋を見てみると、他に3つベッドがあり、2人がベッドの上にいて、1人が廊下で医者ともめていた。激しく言い寄る男の手に包丁が握られていたので、私は近づいていって「そんな怖いもの持たないでくれよ。反則だぜ。お前の勝ちだよ。だけど料理は俺の方が得意なんだ。だからこの包丁はもらうよ。」なんぞと言ってゆっくり包丁を取ったのだが、包丁を握った瞬間とてつもなく冷たい感じがしたので、いや熱かったかもしれない。「冷たいっ」と言ったのに実は熱かった、あるいはその逆みたような感じ。とにかく包丁を取り落としてしまった。医者先生がすぐさま取り上げたのでどうもならなかったが。
私が思い出したというのは、ここが精神に異常をきたして殺人を犯してしまった人たちの集まるキチガイ病院だということだ。はて、私がどんな犯罪を?そこまでは思い出せなかった。

今度は廊下の右手奥の部屋から黒い煙が出ていて騒ぎになっていた。行ってみると、部屋の真ん中に山積みにされた本が燃えていて、女性が布で叩いて消そうとしているところだった。私は近くにあった手ぬぐいを取り、一緒になって叩き始めたが、収まる様子はない。私は上の方の燃えていない本を取り除けるように、そばにいた女の子に指示した。すると、黒煙をあげる一冊の本だけが残った。一所懸命叩くが一向に消えないので、花瓶の水をかけるよう言って、ようやく消し止めた。すると少女と女性から「すばらしい判断だったわ、ありがとう」なんぞと褒められて、お礼にとグレイプフルーツをもらった。
私は得意気になっていたのだが、床の本を見てみると、さっきまで黒煙をあげて燃えていたのに、焦げた跡などが全く見当たらないので、あの煙は幻覚だったのではないかしらと思った。もらったグレイプを見てみると、テニスボールだったので、いよいよ私はキチガイだと思った。
どうしても気になるので、私はその本「ドグラマグラ」を持って部屋を出た。

部屋に戻る途中、向かいの部屋の男と目が合った。行ってみると、男は「お前は絶対に殺してやるからな。」なぞと物騒なことを言う。何かこの男と因縁を持ってしまい、命を狙われているのだということを思い出した。一体何があったのかまでは思い出せなかった。
私は窓の外を見ながら、「どこまでも白い雪景色を見てみろよ。美しいだろ。もっと早くお前と知り合いたかった。」「そうだな。」なぞと、わかったふうな意味不明な言葉を交わした。
はて、さっきは真夏の青い海、反対のこっちは真冬の雪景色ときた。やはり私の頭はどうかしているらしい。

グオーン・・・グオーン・・・グオーン・・・
どうやら時間を告げる時計の音らしいとわかったが、医者先生が何人かやってきて制服を渡してきた。白に男は青、女は赤のラインの入った制服。「作業だ。」と言われて、みんな列を成してぞろぞろ歩いていった。歩いていく先には重い鉄の扉があり、私はとてつもなくイヤな感じがした。キチガイ病院ではなく、あの世に来てしまったのではないかしら。あの扉の向こうにはエンマ大王様がいて、「お前は天国、お前は地獄」なんぞと選別しているのではないかしら。生前の行いを元に・・・記憶のない私は一体どうなるのかしら。なぞと思いながら、扉をくぐればいよいよ死人だぞと思い、逃げようかと思った。しかし、もしかするとエンマ大王様は私の失われた記憶を返してくれるかもしれないと思いつき、このまま歩いていくことに決めた。

私は今本当の自己を取り戻すために歩いている。。

テーマ : 夢小説
ジャンル : 小説・文学

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横浜国立大学マルチメディア文化課程。
爆笑問題太田さん、ダウンタウン松本さん、B'z稲葉さん、ラルクHYDEさん、椎名林檎さん、マイクル・クライトン、、に強く影響を受けています。
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