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トーテムのっぽ鯨井先生

私が中学生の美術の先生は「トーテムのっぽ鯨井先生」だった。ジャスト2mという長身は私のようなチビには大きな脅威を与えていた。

最初の授業のとき、背中を折って教室に入ってきたのが印象的だった。ドアより高い人間がいるなんて!黒板の前の蛍光灯に頭が当たりそうなくらいの長身に、クラスの人気者浜田が「トーテムのっぽだ!」と言ったのがきっかけだった。
一番前の席にいた私はトーテムのっぽ鯨井先生を見上げるのに首が痛かった。そして礼のとき。「起立っ、きょうつけぇ、礼!」でトーテムのっぽ鯨井先生の頭が私の頭の上にガーンってなった。目から火が出たし、足が若干床にめり込んだみたいだった。トーテムのっぽ鯨井先生を見上げてて礼が遅れたのだ。
それ以来私は誰よりも早く礼をするようになった。「きょうつけぇ」の「ぇ~」が終わるか終わらないかぐらいには頭を下げていた。それで一回、私が礼から頭を上げたときにトーテムのっぽ鯨井先生の振り下ろされた礼に思いっきりぶつかったことがあって、そのときトーテムのっぽ鯨井先生があごを押さえてあえいでいるのを見て、仕返ししてやったぜと思った。でもそれ以来私は誰よりも長く礼をするようになった。

中学校で有名だった、私が誰よりも早くそして誰よりも長く礼をするというのはそれが原因だったのだ。。


トーテムのっぽ鯨井先生は中学の美術の先生で、ジャスト2mの長身は私のようなチビに大きな脅威を与えていた。特に私は最初の授業のときのアレがあったので心底怖がっていた。

授業で作品を作ってる間、トーテムのっぽ鯨井先生はみんなの作業を見て回るのだが、トーテムのっぽ鯨井先生がやってくると私は手が震えてしまった。極度の手の震えで、ねんどの「手」はぐにゃりと折れたし、写生の「カナ」の顔はぐしゃぐしゃになってしまったし、彫刻刀が指に刺さって血みどろになった。そんな私を見てトーテムのっぽ鯨井先生は奇妙な笑いを浮かべるのだ。なんだいその作品は、不器用だね、しょうがないチビだよ。
私はどうでもよくなってくる。ぐにゃりと折れたねんどは「地獄から助けを求める罪人の醜くつぶされた手」、ぐしゃぐしゃの絵は「最愛の人を思う狂った男の頭の中」、血みどろの版画は「記憶の奥に封印された紅の思い出」と名づけた。
トーテムのっぽ鯨井先生は「独創的ですばらしい発想だ」と言うが、その顔にはやはり奇妙な笑いが浮かんでいた。結局私の美術の成績は悪かった。

他の教科の成績がすべて5なのに美術だけが3だったのは、私の唯一の汚点である。しかしそれはしょうがないことだったのだ。。
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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

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横浜国立大学マルチメディア文化課程。
爆笑問題太田さん、ダウンタウン松本さん、B'z稲葉さん、ラルクHYDEさん、椎名林檎さん、マイクル・クライトン、、に強く影響を受けています。
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