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魂の断絶

「私は魂の断絶を期待している!」教祖は言った。
「恐れながら教祖様、魂の断絶は100万年に1度あるかないかのことなんですよ」側近が言う。「氷河期が来るその時に起こるなんて・・・奇跡ですよ」
「私はその奇跡を期待しているのだよ」
「ありえません。奇跡なんて起こりはしないのです」
「ならば"奇跡"という言葉は存在しないではないか」
「ないからこそ"奇跡"という言葉をこしらえたのです」
「わかった風な口をきくね。私を誰だと思っているのかね」
「教祖様です」
「教祖である私がなぜ奇跡を起こせないというのだね?」
「奇跡など誰にも起こせないのです。奇跡ではなく他の解決策を考えたほうがよいと思います。起きもしない奇跡を期待してなにもせずに氷河期を迎えてしまえば人類はみな滅びてしまいます」
「奇跡は起こる!それだけだ!わからず屋め!今日限りで私の側近をやめたまえ!」

側近は教祖様を信頼していた。最終戦争のあと、信者たちが生き残ってこれたのはまさに教祖様のおかげだった。しかし今は違う。氷河期という生物にとって最大の危機に直面した今、教祖様は正しい判断力を失っている。現実逃避という教祖様としてはあってはならない状態にある。精神的に不安定な教祖様は今私を見捨てようとしている。さらには数十万人の信者たちを見捨てようとしている!

地上は氷に覆われ始めていた。夏だというのに気温はマイナスを示している。植物はほとんど枯れてしまっていて、動物の死体があちこちに転がっている。そして"ダイト教"の聖地であるラッダにも寒波が迫っていた。

――――そのとき教祖は「魂の断絶」を感じた。体に電気が走り、意識がゆっくりと遠のいていく・・・。永遠に近い眠りの末に再び目覚めるのだ。

「教祖様は狂ってしまわれた。我々は自分たちの力で生き延びなければならない。」側近は信者たちに向かって言った。その表情は"側近"ではなく"教祖"のそれであった。
しかし結局人類は氷河期を生き延びられずに滅びてしまった。新教祖の努力もむなしく大寒波にやられてしまったのだ。

そして数万年後、世界が再び目覚めた頃・・・
「オギャーァァァ!!」
「元気な子が生まれたわねぇ。名前はどうしましょう・・・」
赤ん坊に秘められた力強さを感じてか、名前は天から降りてきたかのように頭に浮かんだ。
「そう、あなたは今日から"教祖様"よ!」。。
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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

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横浜国立大学マルチメディア文化課程。
爆笑問題太田さん、ダウンタウン松本さん、B'z稲葉さん、ラルクHYDEさん、椎名林檎さん、マイクル・クライトン、、に強く影響を受けています。
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