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ナンシー

画家は絵を描いている。
一人黙々と絵を描いている。

人生のすべてを絵を描くことに費やしてきた画家を理解するものは誰もいなかった。
たった一人、妹のナンシーだけは画家を理解してくれていた。
しかし、そのナンシーは死んでしまった。
もはや画家は一人っきりだった。

今、画家は妹の絵を描いている。
妹の死体をみつめながら。
死んだ体から生きた表情を描き出そうとしていた。

画家はかれこれ30年もの時間をかけてナンシーの絵を描き続けていた。
ナンシーの死体はすでに朽ち果てていた。
しかし画家は骸骨から生きた妹を描き出そうとしていた。

最愛の妹の変わり果てた姿をみつめ続けるという作業は、とても残酷で、30年という時間はまるで永遠のようだった。
それは地獄のようかもしれない。
しかし画家にとっては、妹のことを忘れてしまうことの方が地獄だった。
妹の絵を描き続けている限り、妹の思い出に浸っていられる。
妹と一緒に生きていられる。

ナンシーが死んでから30年、画家は死体から生きた妹を描き出そうとしていた。
そしてついに、
「ナンシー」の絵は完成した。

画家は涙した。それは最愛の妹との再会だった。
画家はキャンバスに向かって語りかけた。
「ナンシー、、」

すると、
絵のナンシーの目がぱっちりと開かれ、叫んだ。
「兄さん!」

画家が精魂かけて描いた絵には、本当に魂が宿ったのだ。
画家は本当に死体から生きた妹を描き出したのだ。

あぁ、、しかしなんと哀れな、、
老衰した画家の弱々しい心臓は、その驚きのために止まってしまった。

「兄さん!兄さん!」

かわいそうなナンシー。
大好きな兄の死体をただただみつめるしかない。
目を逸らすこともできない。
毎日毎日、同じ姿勢、同じ目線で、、
永遠に、、、

「兄さんのばかぁ~」。。

そんな妹を画家は天国からただただみつめるしかなかった。。
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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

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Author:54notall
横浜国立大学マルチメディア文化課程。
爆笑問題太田さん、ダウンタウン松本さん、B'z稲葉さん、ラルクHYDEさん、椎名林檎さん、マイクル・クライトン、、に強く影響を受けています。
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