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おばあさんの指輪

私は小学校低学年だった。
公園で友達数人と遊んでいると知らないおばあさんが声をかけてきた。
「私の家で指輪を探してくれないかい?」

好奇心旺盛な僕たちはおばあさんの家に行った。レンガでできた洋風な家だった。
家に入るとまずミニトマトが目に入った。
友達のひとりがそれを食べようとしたが、おばあさんは「それは食べちゃいけません」と言った。

僕たちは宝探しをしている気持ちで指輪を探した。みんな楽しそうだった。
おばあさんが「私はちょっとみんなのためにケーキを買ってくるよ。」と言ってでかけた。ケーキと聞いて、みんなうれしそうだった。
しかしおばあさんがいなくなったのを見計らって、みんなサボりはじめた。指輪を探すのをやめて遊びはじめた。
僕はひとり探し続けた。

いつのまにか夕方になり、日も暮れ始めていた。おばあさんはまだ帰ってきていない。指輪もみつかっていない。
誰かが「帰ろう」と言ったのをきっかけにみんな帰ってしまった。
僕はひとり残って指輪を探し続けた。

日もすっかり暮れて夜になっていた。指輪はまだみつかっていない。おばあさんは帰ってこない。
僕はお腹が減っていた。悪いなと思いつつ、冷蔵庫を開けた。
中にはサンドイッチがあって、「食べてください」と紙に書いてあった。
ココアもあったのでコップに湯を注いで作った。
ココアとサンドイッチの夜食。ココアは粉を入れすぎて甘かった。

僕は溺れていた。
もがくけど体が重くて動けなかった。深い深い海の底に落ちていった。
すると、海の底のさんご礁に指輪がひっかかっていた。
僕はついに指輪をみつけた、、

いつの間にか寝てしまっていたようだ。窓の向こうが白々明けてきていた。もう朝だった。
指輪はみつかっていない。おばあさんは?

お腹が減っていた。冷蔵庫の中にはもうなにもなかった。
僕はあることを思い出した。玄関のところにミニトマトがあった。
おばあさんが「食べてはいけない」と言っていたことも思い出したが、ミニトマトの鮮やかな赤を見ていると、食べたい気持ちを抑えきれずにミニトマトを食べてしまった。
真っ赤に熟したトマトは甘くておいしかった。青いトマトを残して赤いトマトは全部食べてしまった。

ガチャ
後ろでドアが開いた。やばい、おばあさんにみつかる!と思った。
振り向くと知らないおじさんが立っていた。

「君は何をしているんだ?」
僕はおばあさんに指輪を探すのを頼まれたこと、おばあさんがケーキを買いに行って帰ってこないこと、指輪がまだみつかっていないこと、、を話した。
「頼まれたのはいつ?」
「昨日の昼です」
「そんなバカな、、」

おばあさんの名前はベル。ベルおばあさんは昨日の早朝に亡くなった。
海で溺れて。
引き上げたとき、ベルおばあさんの指から指輪がなくなっていた、、

「あの、、おじさんはおばあさんとどういう関係で、、」
「ベルと僕は夫婦なんだ。年の差カップルってやつさ。指輪は結婚指輪だったんだ、、」
おじさんは今にも泣きそうな顔になった。

僕はハッとなった。
冷蔵庫のサンドイッチはおじさんのためにベルおばあさんが作ったものだったんだ。一人分しかなかったもの。
僕は本当に申し訳なくなった。おばあさんの最後の手料理を食べてしまった。指輪もみつけられないこの僕が、、
ミニトマトを全部食べてしまったことも申し訳なかった。
きっとこのミニトマトはおじさんの大好物に違いない。そんなことも知らずに、、

僕とおじさんは青いミニトマトの前で泣いた。。
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テーマ : 夢小説
ジャンル : 小説・文学

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なんか雰囲気のあるいい話ですね。
指輪が気になって成仏できなかったんでしょうか。

そういえばおばあさんはどこに行っちゃったんだろう。
夢の話なので本人にもわからないという。。

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54notall

Author:54notall
横浜国立大学マルチメディア文化課程。
爆笑問題太田さん、ダウンタウン松本さん、B'z稲葉さん、ラルクHYDEさん、椎名林檎さん、マイクル・クライトン、、に強く影響を受けています。
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