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動かない都会

「2007年、東京が滅びる」
そんな予言がテレビや雑誌などを賑わせていた。
9.11テロ事件や大型台風カトリーナなどを予言したというイタリアの少女が東京滅亡を予言しているという。

しかし、その2007年になっても東京の人々は逃げ出そうとはしなかった。
普段と変わらずに東京で生活している。
予言なんて信じられない、仕事があるから、などという。
1999年のノストラダムスの予言は見事にはずれたから、当然の反応といえる。
予言などという非科学的なものでは動じない東京。

しかし、その日はやってきた。
2007年7月17日13時頃、、
直径100メートルほどの隕石のようなものが東京上空に出現した。
その隕石は世界中のあらゆる観測所からも発見されずに、突如として現れた。
ほぼ球体で岩のような質感で、灰色をしているが緑色に発光し点滅していた。
緑色の点滅がまるで時を刻んでいるように見えたので、この隕石は「クロノス」と名づけられた。
クロノスは非常にゆっくりと降りてきた。隕石の落下とは思えないくらいゆっくりと。
人々はクロノスを見上げた。
クロノスが近づくにつれて、東京に変化が表れた。
あらゆる物体が、クロノスの点滅と同期するかのように緑色に点滅しだしたのだ。
ビルも車もアスファルトも人も、建物の中でも書類も電子機器も机もロッカーもなにもかもが緑色に点滅した。
クロノスと東京は完全に同期しているように緑色に点滅していた。
そしてゆっくりと、東京タワーに突き刺さった。
東京タワーの3分の1くらい突き刺さって、クロノスは止まった。
緑色の点滅も止まった。
東京の点滅も止まった。
東京の時間が止まった。
すべてが灰色になって、すべてが動かなくなった。

たとえば2122年の人々は東京を「動かない都会」と呼んでいる。
まるで時間が止まったかのように、あらゆる物が止まっているのだ。
人々の姿勢や表情は固定されているし、空中に浮いたままのボールなどもある。
また、色は失われていて、あらゆる物が灰色になっている。

物理学者は「動かない都会」を科学的に説明できないという。
物質の時間が止まるなんてことが起こりうるだろうか。
たとえば、光速で移動する物体の時間は止まると言われているが、物体が光速で移動するのは不可能だ。
時間が止まるなんてありえない。
しかし東京は止まっている。
東京タワーに突き刺さっている隕石が原因だと誰もが思っているが、隕石の成分を分析するのは不可能だといわれている。
いろんな科学者が隕石の破片を回収しようと試みたが、隕石はとても硬く、「時間が止まって」いるので回収できないのだ。

誰も「動かない都会」を説明できない。
「動かない都会」には東京タワーを見上げる人々もたくさんいたが、そんなものには目もくれずに黙々と働いている人々もたくさんいたという。
自分の時間が止まってしまうことも知らずに働いているそんな姿を見ると、込み上げてくるものがある。。
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テーマ : ショートショート
ジャンル : 小説・文学

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横浜国立大学マルチメディア文化課程。
爆笑問題太田さん、ダウンタウン松本さん、B'z稲葉さん、ラルクHYDEさん、椎名林檎さん、マイクル・クライトン、、に強く影響を受けています。
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