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ヴァンパイアとの契約

ぷ~ん、、
耳もとで鳴るカン高い羽音。
やつはわざと耳をかすめるようにして飛ぶんだ。
その音を聞くと僕の心拍数はあがり、血液は速く流れる。
血管が浮き出してくる。
やつはそれを狙ってる。

夏、それは蚊との戦争だ。
やるかやられるかの戦い。
僕は毎年負けてきたんだ。
あいつらは多すぎる。
一対多じゃ勝てるはずもない。

ある日、目の前を飛ぶ蚊を見て思った。
こいつはこんなに小さいじゃないか。
こいつが吸う血の量なんてほんの微量じゃないか。
蚊を数匹養うなんて造作もないことじゃないか。

かゆくなるのが嫌なだけなんだ。
血をほんの少し採られるくらいなんてことない。
僕は自分の血を小皿に数滴垂らして部屋の隅に置いた。
血管から吸うんじゃなく、この小皿から血を吸ってくれ。
そうすれば僕は君たちを殺さない。

戦争ではなく対話、殺し合いではなく共存だ。

まもなく彼らは小皿から血を吸うようになった。
僕の耳もとをかすめることもなく、
朝起きたらかゆいなんてこともなくなった。
毎日血を流すのはめんどくさいけれど、
かゆいのを我慢したり、蚊を追いかけまわすよりも楽だった。

僕達は共存しているんだ。

ある日、小皿の血を吸っている蚊をみて思った。
なんか、かわいい。
なんと、僕は蚊に愛着を感じてしまった。
僕の部屋に集まる蚊はどんどん増えて、十匹ほどになっていたが、
その中の一匹は、他の蚊が黒に白の縞模様なのに対し、黒に赤の縞模様で、かっこよかった。
僕はその黒と赤の縞模様の一匹を「ヴァンパイア」と名づけた。

ヴァンパイアは毎朝6時に血を吸うようだった。
朝日を浴びながらの吸血、って全然「ヴァンパイア」じゃないじゃん。
僕は毎朝、小皿の血を吸っているヴァンパイアに「ヴァンパイアおはよう!」というのだった。
ヴァンパイアは僕のことなどまったく気にしていないようだったけど。

ある朝、起きると腕に違和感があった。
見ると、蚊が僕の腕から血を吸っている。
信じられない!契約違反だ!
僕は勢いよくその蚊を叩き潰した。
真っ赤な血が飛び散った。
それはもともと僕の血なんだけど。
よく見ると、そいつはヴァンパイアだった。
黒に赤の縞模様、よりによってこいつが、、
僕は余計にがっかりした。

その日学校に行くと、みんな休みだった。
生徒だけじゃなく先生も誰もいなかった。
仕方なく僕は家へと引き返した。
帰り道、誰も外を歩いていなかった。
家に帰るとテレビをつけた。
すると、ニュースの緊急特番をやっていた。
謎のウイルスが流行して、多くの人が病院へ運ばれているという。
特殊な免疫力を持った人以外は感染して重い症状が出るという。
病院ではウイルスの免疫力をもった人の血液を採取してワクチンを作り、患者に投与しているという。

あれ、もしかして僕がウイルスにやられていないのは、特殊な免疫力をもっているから、、
いや違う!
特殊な免疫力をもった人の血液が投与されたからだ!
ヴァンパイア!!
僕は叫んだ。
ヴァンパイアは僕の命を救うために、僕の血管にワクチンを流し込んでいたんだ。
そうとも知らずに僕は叩き潰してしまった。

急に、腕がかゆくなった。。
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テーマ : ショートショート
ジャンル : 小説・文学

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Author:54notall
横浜国立大学マルチメディア文化課程。
爆笑問題太田さん、ダウンタウン松本さん、B'z稲葉さん、ラルクHYDEさん、椎名林檎さん、マイクル・クライトン、、に強く影響を受けています。
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